政府が要請している15%の節電目標の根拠に疑問符がついた。資源エネルギー庁が一般家庭の今夏ピーク時の使用電力量をサンプル調査したところ、15%の目標値はどんぶり勘定ではじき出していたことが明らかになったのだ。
留守宅でもエアコン、大型冷蔵庫2台
エネ庁は東京電力の提出したデータをもとに、一般家庭の真夏のピーク時の使用電力量を1200ワットと試算し、15%の節電の目標を180ワットとはじき出した。エネ庁の試算は「留守宅でも3分の1がエアコン使用、10~15畳用のエアコン2・6台、400リットルの大型冷蔵庫2台」という想定で、もともと実態とかけ離れていた。あらためて調査したらピーク時使用電力量は1000ワットだったというわけで、その場合の15%節電目標は150ワットだった。30ワットの差は「テレビのプラグを抜いておく。冷蔵庫を『強』から『中』にする。ご飯は1日分まとめて炊き冷蔵庫に保管する」程度という。一般家庭ではこの程度の節電は以前からやっている。
「原発必要論」のための世論操作?
いったい、この過大試算はどういう思惑で出されたものなのか。エネ庁は「さまざまな理由から基準値として1200ワットを採用してきた」というだけ。データを出した東電は「エネ庁が調べた実測値は東電としては把握できていない。1軒1軒の家庭がどういった電気の使い方をされているのか把握でいないところがあり、アバウトな数字かもしれないが15%節電をお願いしている」と話す。
アバウトな机上計算でスタートした節電ついて、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は次のように語った。
「家庭が問題なんだということを浮かび上がらせることによって、『節電をしなさい』といいながら『エアコンを節電したら大変でしょう』とか言って節電の大変さを一般の人に植え付ける。
エアコンを全部止めないと目標に達しないかのような数字になっていて、半分脅しが入っているんですよ。だから原発は必要なんだと暗に言っている」
東電は「でんき予報」なる情報を流して節電を呼びかけているが、こうなると一種の世論操作と思えなくもない。
司会の羽島慎一「我慢して冷房を切ろうかなと思っている人がたくさんいるのに、節電を頼むほうはいい加減なんだという気がする」
月刊誌『ゲーテ』編集長の舘野晴彦はさらに辛辣。
「一連のことで東電ってひどい会社だと思ったけど、今回、改めてほんとにひどいと思う。猛暑のなかで節電し、熱中症で倒れた方や命を落とした高齢者もいる。節電を頼みながら、(エネ庁のことは)感知しませんって、ひどいですよ」