中国共産党中央宣伝部が国内メディアに対して、高速鉄道事故で独自報道や論評を禁止していたことが、きのう(2011年7月31日)明らかになった。「政府発表と好意的内容をのぞき、いかなる報道も」という厳しい内容だという。
事態沈静化に自信?
「スッキリ!!」が新京報という新聞のケースで報道規制ぶりを指摘した。はじめは9ページの事故特集を予定して、現場に手向けられた花や悲しむ人々の写真をレイアウトしていたのだが、実際に発行された紙面では事故関係は小さくなり、1面は北京で大雨が降ったという記事に変わっていた。写真も水浸しの道路を傘をさして自転車に乗る男性の姿だった。
また、女性キャスターが「原因究明を」と涙を流した国営テレビも、主なニュースはリビア情勢で、事故の関係では遺失物に関するものだけになった。
中国事情に詳しいジャーナリスト富坂総さんはこう解説する。
「普通に行われていることだが、これまで世論の動向とタイミングを見ていて、事態が沈静化していると自信を持ったので介入したのだろう。
何重にも中央宣伝部がチェック する体制になっているから、書きたいことが書けないのが当たり前」
補償金引き上げで不満封じ
中国政府は遺族への補償金をこれまでの50万元(約600万円)から91万5000元 (約1100万円)に引き上げたが、遺族は「鉄道省から謝罪がない。金額にも満足していない」などと話している。
森圭介アナは新京報の写真を指して、「雨の中うなだれている男性の姿が政府からの圧力を暗示しているという見方もある。どうでしょうか」と勝手な解釈。
勝谷誠彦(コラムニスト)が笑いながら、「メディアは党のノドであり舌であると毛沢東は言っていた。つまり、党の言うがままをしゃべるということ。それにしては今回がんばってましたよ」
キャスターのテリー伊藤「女性アナが抗議してたでしょう。彼女は鉄道省は批判したが、共産党は批判してない。政府は早めに収束させたい。海外へ新幹線を売り込みたい。何兆円という金額ですからね」
まあ、大人の国のやることかと思うが、当の大人たちは民衆が怖いのだから面白い。