このところ、「原子力村」のなれ合い、もたれ合いと言われた内状が、徐々に外部に放出されはじめているようだ。村の安全を守っていた防壁は、福島の原発建屋と同じように、ぼろぼろに崩れ落ちてしまったのかもしれない。
「やらせ」問題もそのことの好例だろう。一般にはテレビの専売特許とされる「やらせ」だが、電力会社ぐるみどころか、政治行政・国ぐるみで、原発・プルサーマル推進の世論誘導をやらせていたことが国民の目にさらされた。そして、やらせといえば謝罪するのが常のテレビが、それを糾弾する珍奇な状況である。
電力会社に「社員動員」「想定問答作成」要請
原発のある佐賀県の知事は九電幹部を相手に、やらせを誘導、誘発するような発言をしていた。原子力の安全を保つはずの原子力安全・保安院は、各地のプルサーマルシンポジウムを前にして、電力会社に動員や想定問答の作成を頼んでいたという。
番組によれば、2007年の浜岡原発プルサーマルのシンポジウムでは、会場に集まった500人の半分が、中部電力が動員した人たち。しかし中電は立派なことに、想定問答の作成は仁義にもとるとして断ったという。
一方、四国電力では「完全なる出来レースが行われていた」(笠井信輔アナ)。こちらは保安院のご指導のもと、律儀に想定問答まで作成し、実際に動員とやらせ質問が行われていたそうだ。
文
ボンド柳生| 似顔絵 池田マコト