五木寛之「画期的なこと。記録ではなく、記憶画」
筑豊の炭鉱を舞台とした小説「青春の門」を世に送った小説家の五木寛之がゲスト出演した。
「今回の登録は画期的なことだと思います。山本の名前は福岡の人には馴染んでいるが、全国的には無名です。その人が一躍世界中に知られるようになった」
国谷は「炭鉱から離れがたいとする人もいれば、2度と行きたくないという人もいます。この落差をどう考えればいいのでしょうか」と聞く。五木は「炭鉱は地獄だという人もいるし、炭鉱は故郷だったという人もいます。どちらにしろ、アジアの奇跡と呼ばれた日本の驚異的な経済成長を炭鉱が支えた。その労働現場での様々な光景を山本さんの作品は伝えています」とかたり、「山本さんの絵は記録ではなく、記憶画です。私たちが後生に伝えなければならない日本の文化がくっきりと描かれています」と結んだ。
五木は歴史を語るときに大切なのは、俯瞰した記録ではなく、人々に刻み込まれた記憶だとかねてから語っている。
*NHKクローズアップ現代(2011年7月28日放送「炭坑(ヤマ)が『世界の記憶』になった」)
ナオジン