中国・浙江省で衝突事故を起した高速鉄道は、事故からわずか1日半のきのう(2011年7月25日)午後、運行が再開された。現場の高架下には転落した車両がそのまま。もうほとんど人影もない。死者39人、けが人190人以上という惨事などなかったようだ。衝突した先頭車両は地中に穴を掘って埋めてしまった。中国事情にくわしいジャーナリスト富坂聰さんは「事故原因究明はしないという宣言みたいなものだ」という。
雷のせいにしないと都合悪い鉄道省
中国でもさすがにネットで批判が出た。
「そんなに急いで隠さなくてもいいじゃないか」「証拠隠滅、責任逃れ、これこそ中国」「高速鉄道は世界最速の棺桶だ」
しかし、政府報道官は「(埋めたのは)救援活動のためだ」と平気でいう。
司会の小倉智昭「埋めたのは、救援が終わってからでしょう」
石平・拓殖大客員教授の解析が面白い。
「原因究明をやりたくないんですね。今後も高速道路とか大規模プロジェクトをやらないといけない。技術がダメだとなるとやりにくい。だから、自然現象、雷のせいにすればいいというわけなのでしょう」
中国の高速鉄道建設はすさまじいペースだ。日本は52年かかって2500キロを敷いたが、中国は6年間で9000キロ。2020年までに1万6000キロになる。この3年で57兆円もの予算を鉄道など交通インフラに投じている。
石はこれを「高い経済成長を維持するための公共投資です。鉄道省にしてみれば、棚からぼたもち。予算をどんどん使って猛スピードで整備を進めた。そこで安全をないがしろにした」という。
小倉「手抜き工事なんてあるんですか」
石「当然です。鉄道大臣が賄賂をもらったと辞めたでしょう。賄賂を捻出するためには手抜きしないといけない。これからも今までのやり方になる。原因究明より国民をごまかすことが優先。国民が忘れた頃にさらに大規模プロジェクトを打つ。隠蔽は原因究明の意思がないということで、技術が高まることはない」
小倉「中国のものは良くなっていることは確かなんですがね」
政府が関わってくると、話がいつもおかしくなるのも中国特有だ