スーパー・商社が農業生産法人に出資
この状況を受けて、商社や大手スーパーで大豆や飼料用トウモロコシを国内で生産する動きが出てきた。全国に560店舗を展開する大手スーパーは、3年前から北海道の農家と共同で農業生産法人を設立して大豆生産に乗り出している。担い手のいなくなった農地を活用して、現在の農場の広さは1000ヘクタール。大型機械の導入で低コスト生産を可能にした。収穫した大豆は自社で販売する豆腐などに使用していて、豆腐1丁39円で販売している。
黒毛和牛の産地として知られる鹿児島県志布志市では、総合商社が地元の農業生産法人に出資して牛のエサとなる飼料用トウモロコシの生産に乗り出している。国際価格の高騰で需要が拡大し、現在は40戸の畜産農家に飼料用トウモロコシを提供している。
こうした動きはまだ大きな潮流にはなっていないが、国際価格の高騰に対抗した動きとして注目される。柴田は新たな投資が食の輸入大国から輸出国へ転じる可能性も秘めていると言う。
「海外が厳しい状況になっているので、国内農業に投資のチャンスが広がってきた。多様な農業が現実的になってきたということだろう。 水田を遊ばせないで、フルに活用していくべきで、そうすれば大増産の可能性もあるのではないでしょうか。増産された部分は家畜のエサとか輸出に活路を開くこともできる」
*NHKクローズアップ現代(2011年7月20日放送「迫る『食糧高騰』時代」