<スーパーエイト>監督はテレビドラマ『LOST』のJ・J・エイブラムス、製作はスティーブン・スピルバーグというコンビが生み出したSF大作だ。
1979年、鉄工所の事故で母親を亡くした14歳のジョー(ジョエル・コートニー)は、仲間と映画を撮ることでその悲しみを紛らわせていた。そんなある日、線路近くでナイトシーンを撮影していいあとき、1台の車が走行中の貨物列車に突っこんだ。脱線して大爆発を起こした列車の破片が、光るあられのように降ってくる。難を逃れたジョーらが大破した車を見に行くと、中にはジョーらの通う学校の生物教師ウッドワードが瀕死の状態でいた。ウッドワードは「いま見たことをしゃべったら、お前らもお前らの親も殺される」と苦しい息の中で話し始めた。
その日から町中の犬が行方不明になったり、住民が失踪したりと不可解な出来事が相次ぎ、仲間のアリスも何者かに連れ去れてしまう。ジョーはあの事故に何かが隠されていると気づき、映されていた映像をチェックしてみると…。アリスを連れ去ったのははたして未知の生物だった。
制作スピルバーグ、監督エイブラスムの究極エンターテイメント
J・J・エイブラムス監督が自ら言うように、この映画は「いろいろな要素がブレンドされたカクテルのような作品」である。ジョーという主人公を中心に、親子の物語、友情の物語、はたまたジョーの初恋の物語、そして未知なる生命体との対決。110分ほどの映画にここまで詰め込んだら、何の話か分からなくなってしまいそうだが、それでも話の軸がブレないのは脚本の力だ。
また、プロデューサーをつめるスティーブン・スピルバーグ作品へのオマージュもふんだんに詰め込まれている。どの部分がどの作品のオマージュなのか、探しながら観るのも面白い。そして、詰め込まれた要素の端々でうかがえる現代社会への警鐘。未知なる生命体が近代の象徴である『鉄』を収集しているというのもその一つといえる。
映画に込められた意味を見つけようとするのも良し、純粋にストーリーを楽しむのも良し。10人が見れば10人違う楽しみ方ができる。大人も子どもも楽しめる。スーパーエイトは究極のエンターテイメント映画である。
野崎芳史
おススメ度☆☆☆☆