九州電力のやらせメールは、運転再開へ向け賛成意見をでっちあげた会社ぐるみの世論工作だったことが明らかになった。
「まったくもー、どのツラさげてと言いたくなりますね」
司会のみのもんたもこう嘆く。
賛成意見286件のうち141件やらせ
九電が発表したやらせメールの調査結果によると、世論工作の実行について具体的に話し合ったのは、段上守前副社長を中心に原子力発電所の担当本部長、佐賀支店長ら3人。
3人は佐賀市内で6月21日(2011年)に会食し、運転再開に理解を求める国主催の説明会番組で、慎重意見が中心になることを懸念して、賛成意見の投稿を増やすことで意見が一致したという。
投稿には文例まで用意されていた。例をあげると、トヨタ自動車の豊田章男社長の実名を出してその発言を引用し、「電力不足が国内産業の空洞化にますます拍車をかける」と危機感を煽ったり、「弱者である子供や高齢者の熱中症を防ぐためにも運転再開は絶対に必要だ」といったものもあったという。
グループ社員や取引先企業の社員2900人に呼びかけ、うち141人以上が実際に投稿していた。この『やらせ投稿』の上乗せがあったため、番組に寄せられた賛成意見は286件に達し、反対意見の163件を大幅に上回った。
眞部利応社長は辞意撤回で居座り
九電は近く経営陣や関係者の処分を行う方針だが、眞部利応社長は「当面に課題に全力で対処する」として続投する構えという。世間を騙す工作を組織ぐるみで実行しながら、トップが居直り続けるのは地域独占企業ならではの傲慢さとしか言いようがない。
海老原嗣生(教育・雇用に詳しいコンサルタント)「前副社長は『お願いするよと言っただけ』と話していたんですよね。それが…」
みの「公共の電波を使って世論を捏造しようと。こんなこと許されていいんですかね」
与良正男(毎日新聞論説副委員長)は「こういうことはいずれ明らかになってしまうということの自覚がまるでない。もともと悪いことをしているという自覚がないんだと思う」
東電を始めとして、過去の原発事故でも隠ぺい、データの捏造が当たり前のように横行してきた。その背景には、競争原理が働かない地域独占の甘い経営体質があることは明らかだ。