小出裕章・京大助教に「放射能煽り批判」どう見てるか聞いてみた!

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「放射能クライシス正すのも責務」と週刊ポスト大見得

   さて、今週最大の話題は「週刊ポスト」の大特集「『恐怖の放射能』の嘘を暴く」である。「覚悟の総力特集」と謳い、巻頭に2ページにわたる編集部の主張を掲載した。冒頭、これまで新聞・テレビが政府・東電の発表を垂れ流してきたことを批判している。続いて、もっとひどいのが「放射能の危険」をことさら煽る週刊誌などのメディアであると追及している。これは「週刊現代」や「週刊文春」「週刊朝日」などのことであろう。その連中に共通しているのは「知識の乏しさと科学リテラシーの低さ」で、ありもしない「放射能クライシス」を煽り立てる報道に対して、「これを正すことも報道機関の責務である」と大見得を切っている。

   また、こうした煽り派雑誌に登場する「専門家」は、原子力の研究者というより反米・反日活動家で、間違ったことを主張するために、学会で名誉ある地位を占められなかった人物たちであると一刀両断。デマを真実と思い込んだ国民の中には、ノイローゼになったり、子供を産むことに恐怖心を覚え人工中絶するケースまで出ていると批判し、「今回の事故による放射能汚染で、子供が『奇形』や『遺伝子異常』で生まれる可能性は『ゼロ』だといっても過言ではない」といい切り、「(ポストは=筆者注)バイアスや信条、利権に基づいた報道はしないと読者に約束する。それこそがメディアの良心だと信じるからである」と結ぶ。

   最初の記事は「50年前の日本は『放射線まみれ』だった」。スリーマイル島やチェルノブイリ原発事故が起こるはるか前、1945年にアメリカが初の大気圏核実験して以降、今日までに世界中で2000回以上の核実験が行われている。なかでも、62年には年間178回の核実験が行われ、世界中に「死の灰」がまき散らされた。その当時のほうが、いまとは比較にならない放射線量があったと、「日本分析センター」というところの協力を得て、63年から今年までのセシウム137の測定値を表にしている。

   63年の秋田は3・36ミリシーベルト/年、東京も1・69ミリシーベルト/年だが、その後減り続け、86年のチェルノブイリの時にやや上がるが、00年にはほとんど検出されなくなったと表にある。福島原発事故が起きて、茨城の5・41ミリシーベルト/年という数値が突出して高いが、福島市は0・84ミリシーベルト/年である。

   ポストはこう結論づける。このデータから、いまよりずっと高い放射線量を浴び続けてきても、その後の日本人のがんの発症率への影響は見られない。さらに広島・長崎の原爆経験者の妊娠例を調査しても、被爆の影響による子供の先天性異常がなかったことは確実である。

   後半の「東京人気公園40と関東沿岸海水浴場7 放射線汚染量完全マップ!」では、加藤洋首都大学東京放射線学科準教授と取材班がシンチレーションカウンター(価格は50万円)を使用して調査した表を載せている。その結果、煽り派週刊誌が騒いでいるような大げさな計測値は出ないし、国が定めている1時間当たり3・8 マイクロシーベルト(年間20ミリシーベルト)を超えるところはなかったから、心配せずに子供と一緒に遊びに行ってもらいたいと結んでいる。

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