NHKの「みんなのうた」が今年で50年周年だそうだ。この5分間の歌番組は「世界でも際立つ長寿歌番組」(国谷裕子キャスター)であり、その最大の魅力は、クローズアップ現代に言わせると、オリジナルの歌と工夫を凝らした映像だそうな。どうにも手前味噌に感じるのは無理もない。
近年はこれといった話題曲なし
時は高度成長期の1961年。歌声喫茶など、大衆音楽文化が花開く一方、子供の歌は戦前戦中の童謡、文部省唱歌しかなかった。子供に心から楽しんで歌える歌を届けたいとの高尚な動機で、みんなのうたははじまったという。
76年の「山口さんちのツトム君」、81年の「コンピューターおばあちゃん」など、代表曲のフラッシュバック的映像が立て続けに流れていく。たしかにこどもをばかりか、世代を超えて膾炙した曲が多いが、そうしたみんなのうた栄光のクロニクルも、バブルがはじけたあたりからは、とたんにパワーダウンした感が否めない。近年では2007年の「おしりかじり虫」が目立つくらいではないかしらん。
つんく♂ゲストに礼賛
そもそもクローズアップで取り上げられるニッポンの現象ときたら――国民健康保険などが好例だが――50年も経てば、だいたい曲がり角に立っていたり、危機に瀕しているものなんである。
みんなのうたは、とっくに曲がり角を迎えて、曲がり角で長いこととまったままという感じがしないでもない。本来ならば、スタジオで「いま問い直されるみんなのうたの意義」などを専門家が論じていてもおかしくないのだが、実際にはプロデューサーのつんく♂がみんなのうたを礼賛していた。
今回ばかりは、クローズアップ現代もずいぶんと問題意識が欠如していたようである。
*NHKクローズアップ現代(2011年7月12日放送「『みんなのうた』が見つめた50年」)
ボンド柳生