英国人女性のリンゼイ・アン・ホーカー(当時22)を殺害し、殺人や強姦致死などの罪に問われた市橋達也被告(32)の裁判員裁判の公判が12日(2011年7月)千葉地裁であり、検察側が無期懲役を求刑した。
司会のみのもんたは死刑求刑を想定していたのだろう。「強姦そのものがすでに殺人。さらに首を絞めて殺す2重の殺人ではないかと思う」と納得できない表情だった。
父親「顔真っ赤にして拳ブルブル」
死刑求刑を避けた理由として、検察側は被害者が1人であること、被告に前科がないことから、「死刑を求刑することは躊躇せざるを得ない。最高刑の懲役30年の有期刑では軽過ぎ、無期懲役を求めます」と述べている。
最大の争点となっている殺意の有無については、「殺意を持って強く首を圧迫し続けた」とする検察側に対し、市橋は一貫して殺意を否定してきた。その市橋がこの日の最終陳述で、「逃げているときに感じたことは、人の命が一番尊いということです」と述べた。通訳を通じて聞き入っていたリンゼイの父親は白々しいウソと感じたのだろう、顔を真っ赤にし、握りしめたこぶしをブルブルふるわせた。
1人殺害でも裁判員裁判で死刑判決
コメンテーターの若狭勝(元東京地検特捜部副部長)は、「求刑ぐらいは死刑を求めてもいいという考え方があると思うが、結論としては、無期懲役の求刑はいたしかたないと思う」と話す。これに城戸真亜子(洋画家)が「無期懲役は何年かしたら出てきちゃうと聞いていますが」と納得いかないふう。
若狭「30年以上たつと仮釈放で出てきてしまう可能性があります。終身だと受刑者がおかしくなることがあるので」
これまでの裁判員裁判で、被害者が1人でも死刑の判決が言い渡された裁判は2回。いずれも重大悪質な前科があり、改悛が期待できないケースだった。市橋の判決公判は21日に開かれる。