「ストレステストは再稼働の前提とは思っていません」
原子力安全委員会の斑目春樹委員長がインタビューにこう答えた。原発の安全性について、内閣に助言・勧告する役割の委員長が、マスコミに向かって今さら政府に異議を唱えた真意は何か―。
ヨーロッパでは稼働しながら1年がかり
東京新聞(2011年7月9日付朝刊)が報じた斑目委員長の発言によると――。運転停止している原発の安全性について総合的評価は必要で、ストレステスト実施には賛成の立場をとっているものの、「再稼働の条件にするという考えは、ヨーロッパのストレステストが運転しながら1年がかりで実施している例を見てもおかしい」と反対している。
政府は11日に、ストレステストの方法や手順などについて統一見解を公表することになっているが、斑目委員長が「総合評価の必要性を再三助言してきたが、政府は聞き入れてくれなかった」というのも初めて聞く話。
司会にみのもんたが「こういう意見がこうやって外に出ちゃう。余計不信感が募る」と言うと、柿崎明二(共同通信社政治部デスク)が「意見に違いがあるんだったら政府内で話をしたうえで外に発信してほしい」と至極当然な発言。
八塩圭子(学習院大特命客員教授)も「再稼働ありきでなく、ストレステストをやることはいいことだと思う。ただ、その手順をきちっとして欲しい」という。
単なる体力テスト
ところが、この日のゲストの千葉商科大学長の島田晴雄は次のように指摘する。
「本人が出した再稼働の条件を示した文章がここにあります。それによると、中央制御室の作業ができるか、通信手段が隠されているか、防御服は確保されているか、水素爆発を防ぐための屋根に穴を開ける用意はあるかなど5つの条件があり、そんなのを聞いてオーケーということになった」
あまりに簡単な条件で、単なる応急手当。これで再稼働では恐ろしい。そこにはこだわらない島田から厳しい菅批判が飛び出した。
「ヨーロッパのストレステストは体力テストで、安全の条件じゃない。菅さんはそれを誰かから聞いてやろうという。はっきり言っとくよ、国民に。菅さんは普通の人以下の能力です。でも、本気で自分がいなきゃ国はダメだと信じ切っている。余計に危険です。斑目委員長は正しい」
そこまで言うなら、安全のための再稼働の条件についても発言すべきだが、それはなしだった。