難しくなってきた市橋達也「殺意立証」―判断分かれる殺害前の会話

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   英国人語学教師のリンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件の公判3日目の被告人質問で、市橋達也(32)が初めて殺害に至る状況を語った。弁護人の質問に答えたもので、殺意は否定している。市橋は「私は誘惑に負けました」「リンゼイさんの顔を2回なぐっています」と涙声で話した。

「レッスン料忘れた」は口実か事実か

   2007年3月26日、喫茶店で初めて英会話の個人レッスンを受けたあとの2人の映像が、店の防犯カメラに残っている。これがリンゼイさん(当時22)の最後の姿だ。

   レッスンでは「趣味の話、お互い好きな映画の女優の話、ハリー・ポッターの話もしました」

   この後、2人は市橋のマンションへ行く。3500円のレッスン料を忘れたという理由だった。タクシーでマンションに着き、エレベーターの中で「リンゼイさんと親密になれればと勝手に思ってました」

   部屋に入ると後ろから抱きついた。

「私は誘惑に負けました。廊下に押し倒しました」

   抵抗したリンゼイさんの手足を結束バンドで縛り暴行。その後、浴室に連れて行こうとすると、「リンゼイさんは私に『殺すつもりね』といいました」

   会話をしていると、「リンゼイさんは甘いものがほしい、飲み物がほしいとか言ってきました。イライラして顔を2回なぐっています」

   寝入って数時間後、目覚めると、リンゼイさんの手首の結束バンドが外れていて、リンゼイさんに殴られた。

「大声を出しながら逃げていきました。獣のようなうなり声でした。リンゼイさんにのしかかって、左手で口を覆いました。動かなくなるまで覆いかぶさっていました」

   弁護人が聞く。「どれくらいの間?」

「私の感覚では短かったです。リンゼイさんは動かなくなりました」
「押さえ込んだとき、殺そうと思った?」
「思っていませんでした」

黙秘で抵抗され検察捜査に穴

   司会の小倉智昭「あくまで弁護士の質問ですね」

   笠井信輔アナが「被告側の主張といっていいと思います」と解説した。

   奇妙なことがいくつかある。検察側はレッスン料を忘れたのは口実だとしているが、市橋は前の晩に恋人と明け方まで一緒で、寝坊してあわてたので忘れたと答えた。タクシーで着いた時、運転手に「5、6分待って」と頼んで断られているが、さらに「5、6分経ったら来てくれないか」と言っている。運転手は「電話してくれ」といった。タクシー でリンゼイさんを待たせて金をとってくるつもりだったというのだ。

   笠井「タクシーが待っていれば、事件は起きなかったかも知れない」

   性的暴行をするときコンドームを使っていた。そして、リンゼイさんが失禁してしまったため、浴室へ連れて行こうとしたが、「殺すつもりね」といわれたため、浴槽を和室へ持ってきて入れている。

   笠井「信じられない。お湯がはいったまま」

   そして、恋人に「1週間ほど会えない」とメールをしていた。弁護士の「1週間でリンゼイさんと人間関係を作ろうと?」に、「ハイ、そう考えていました」と答えている。そして深夜の惨劇になった。

   これらから若狭勝弁護士は「殺意を問うのは難しい」とコメントする。深澤真紀(コラムニスト)は「手記を読んだけど、いいわけも反省もしていない。人ごとのようで、何か人格が違うなと感じましたね。きのうのやり取りでもそう感じました」という。

   市橋は調べに対して黙秘を続けていて、検察当局も手記で初めてわかったことも多かったはず。そのあたりで検察に抜け落ちがあったのかという感じもする。

   きょう(8日)、リンゼイさんの両親が直接質問する。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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