1週間前まで九州電力・玄海原発の運転再開を進めた3人衆。海江田経産相は拙速にも安全宣言を出してしまい、九州電力の真部利応社長はやらせメールが発覚して、「しかるべき時に辞任する」意向を表明する大混乱となった。いち早く再開容認を打ち出した玄海町の岸本英雄町長だけが踏みとどまった。いま何を考えているのか。「朝ズバッ!」に生出演した。
九電という大企業誘致
話を聞いたのは司会のみのもんた。
―国からの交付金なり、(九電関連会社への)就職口とかいろいろ恩恵に浴している。忸怩たる思いもあるでしょうが、これからどう対処していくべきでしょうかね。
「(玄海町は)閉鎖的な西の端っこにありますから、産業が成り立つ場所ではなかった。九電という大企業の誘致をやって町を興した先人に敬意を表している。
国の安全対策の基本方針をきちんとしていただき、1本の筋のなかで安全を担保にしてもらうことが大前提と思う」
―あの福島原発事故による放射漏れで、どれだけに人が故郷を失い、農業をやっている人が自殺までする事態を見て、国の安全保証をどう思います。
「今の状況のままでは期待できない。電気は生活の中心で、これは維持していかなければいけない。将来像を国がしっかり国民に示すべきですよ」
―それが出るまでは、一歩前に進めるわけにはいかないんじゃないですか。
「今回はまさしくそういう状況になりましたね。これまで人間は、しっかり知恵を出して我が身を守りながら新しいエネルギーに手をつけてきた。どうやってエネルギーを維持していくか、しっかり考えていかなければいけない時代に入ってきた」
みのは他の原発が慎重な中、なぜ一番乗りしてまで運転再開容認を急いだのか聞きたかったようだが、町長は食えないオヤジという印象で、さすがのみのも「ズバッ!」とはいかなかった。
原発税収20億円、交付金266億円
人口6500人足らず。原発の固定資産税収入が年20億円。1975年から1号機の運転が開始され、「原発の後も原発を」と4号機まで増設を容認。1975年から2010年まで国から得た交付金は266億円に達し、温泉施設など箱ものに使われてきた。
玄海原発付近は活断層のない「地震の空白域」といわれていたが、05年には福岡県西方沖で震度6弱の地震が起きており、「空白域は昔の話、新たな調査が必要」(地震予知連の島崎邦彦会長)という警戒地域でもある。