高齢者施設の避難死者88人―環境激変で食事通らず認知症も進行

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   福島・南相馬市の高齢者福祉施設「長寿荘」は、福島原発事故で避難勧告を受け、56人の入所者を栃木県など13の施設に移した。数日後に最初の訃報が届き、3か月で17人になった。

   施設の相談員・斎藤征子さんは、「元の施設にいたらどうだったかなと思う。3か月の間にこれだけの人が…、やはり長期移動のストレス。慣れ親しんだ場所、人に囲まれていたら、もうちょっと…」と話す。亡くなった93歳の女性の娘さんは、「移って1週間で食事がとれなくなった。環境の変化かなと悔やまれます」という。

「畳で自分の布団で寝たい」「睡眠薬がないと眠れない」

   「とくダネ!」が調べたところでは、原発から30キロ圏内にあった老人ホームなど15施設のうち、10の施設で88人が亡くなっていた。郡山市内の避難所では500人が今も避難生活を送っているが、半数近くが65歳以上だ。高齢者もコンクリートの上にマットを敷いて生活している。「畳で自分の布団で寝たい」「睡眠薬がないと眠れない」と入所老人は話す。

   福島市内のアパートには、富岡町のグループホームからの17人が生活していた。避難先は転々と変わり、これが4つ目。3階建てに10室。1部屋に3人というところもある。高齢者用ではないから、段差があったりして、よろず勝手が悪い。

   職員は「環境が変わると、8割がた認知症が進む」という。しかし中には、着た時は車イスだったのが、リハビリで歩けるようになった83歳の男性 もいた。ハモニカを吹いたりして、「家へ帰って、大の字で寝たい」といっていた。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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