入居が始まっている被災地の仮設住宅でトラブルが続発している。急いだあまりの単純ミスでは済まされない、あくどい業者の構造的な問題も指摘されており、目に余る欠陥工事も少なくない。
雨漏りがして家じゅうカビだらけ。網戸がちゃんと閉まらないため夜になるとカが入ってくる。ハエやアリも大量発生して、家の中をブンブン飛び回ったり、アリが行列で移動。「朝ズバッ!」が予定の7割が完成しているという岩手県釜石市の仮設住宅を取材したところやはり仰天の事実が…。
雨漏り、カビ、ハエ、アリ…
梅雨入りして2週間―。天井隅と壁の隙間から雨水が流れ込み、尋常でない部屋の湿気で布団を持ちあげるとカビがびっしり。瓦礫の中で大量発生しているハエがどこからか部屋の中に侵入、1日に何度もハエ取り紙を取り換えるほどだという。さらに、指先ほどの隙間のできた柱の根元からアリが大量に部屋の中に上がってくる。これらの苦情に対し、県建築住宅課は「完成を急ぐあまり工事がずさんになっているのではないか」という。
地元排除して「丸投げ」
日銀出身で経済評論家の池田健三郎によると、原因はそんな単純な事情ではなさそうだ。
「以前から再三指摘してきたが、国の担当セクションが業界団体に丸投げ。業界団体は人手不足なのに、地元の業者を使わずにできるだけ自分たちだけで利権を守ろうとやっている。資材も足りず、古いものとかを寄せ集めてやっているので当然こういうトラブルが起きる。
トラブルがいろいろあるにも関わらず、そのシステムが崩せない。地元に意思決定の権限を下ろさないとダメです」
国と業界団体の利権の構図が、被災地の欠陥仮設住宅となって表れているというのだからもはや救いようがない。