松本龍復興担当相が3日(2011年7月)、就任後初めて激励のために岩手・宮城両県の被災地を訪れたと思ったら、放言、暴言、脅しありでとんだ見込み違いだった。「波紋を呼びそうだ」と取り上げた「朝ズバッ!」では、コメンテーターから怒りの声が噴射した。
「九州出身だから東北よくわからない」
宮城県庁内の応接室に通された松本は、遅れて入ってきた村井嘉浩知事が握手を求めても応じず、いきなり「(水産特区は)県で(漁協との)コンセンサスを得ろよ。そうしないとわれわれは何もしないゾ。ちゃんとやれ」と凄んだ。続けて、「いま、後から入ってきたけど、お客さんが来る時は自分が入ってからお客さんを呼べ。いいか、長幼の序が分かっている自衛隊ならそんなことやるゾ。分かったらしっかりやれ」
そして、こんな事を言い出したのだ。
「今の(やりとりの)最後の言葉はオフレコ。いいですね、皆さん。書いたらその社は終わりだから」
遅れてきた知事に憤慨してつい暴言と思ったら、そうではなさそうで、その前に訪れた岩手県でも次のような放言をしていた。
「知恵を出したところは助けるが、知恵を出さないやつは助けない。そのくらいの気持ちを持って」「(俺は)九州の人間だから、東北に何市がどこの県とか分からない」
復興担当の大臣がこれでは被災地の人たちが「東北は見捨てられた」と思うだろう。
松本は福岡市出身で、1990年の衆院選に旧社会党から出馬して初当選して以来、7回連続当選している。96年には社会党を離党して旧民主党結成に参加、昨年9月の菅内閣改造で環境担当相兼防災相に就任した。6月28日の復興担当相就任会見で、「民主も自民も公明も嫌いだ」と発言して野党から猛反発を受けている。
「助けてやるぞ」と上からのもの言い
まず、共同通信政治部デスクの柿崎明二が次のように怒りをぶつけた。
「被災地の人たちがこのシーン見たらかなり怒るはずですよ。国会はまたこれで時間がとられ、復興の問題が遅れる。被災地の人たちを癒しに行く役割のはずが、これでは全くわけがわからない。現地にもう1回行って謝った方がいい」
経済評論家の池田健三郎「国と地方の関係は対等。長幼の序は関係ない。復興に協力しようというミーティングで、なぜ上から物を言わなければならないのか」
司会のみの・もんた「エッ、この人60歳。60年の人生を経てきて、国会議員になった人間として、どういう気持ちで言ったのか、スタジオに来てもらって私は聞いてみたい」
それにしても、東北復興の国難にあたる最高責任者にこの程度の人材しかいないとは、任命した菅首相は松本のどこを見ていたのだろう。あんな性格を知らなかったわけじゃないと思うが…。