松本人志映画「一発芸の連続」で珍しくわかりやすさ

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(C)2011「さや侍」製作委員会
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   <さや侍>ある事情により刀を捨てた武士、野見勘十郎(野見隆明)は一人娘のたえ(熊田聖亜)と流浪の旅を続けていたが、脱藩を問われて囚われの身となり、切腹を言い渡される。絶体絶命の瀬戸際、変わり者の殿様から「お情け」をかけられる。母親が死んでから笑顔を失った若君に、一日一芸を披露して30日以内に笑わせれば無罪放免というもので、失敗すれば切腹という難題であった。

   監督は松本人志だ。

素人の野見隆明に台本渡さぬ演出

   時代劇という馴染みやすさもあるのか、過去の松本作品と比べてとっつきやすい印象を見る前から受けた。内容も『大日本人』『しんぼる』に比べて解かりやすい。笑いもテレビで培ってきた松本人志のコントの手法に近い。

   もともと、「若君を笑わせる」というハッキリしたストーリーなので、過去の作品よりも「笑い」がより解かりやすいテーマになっている。ただ、大まかな流れが「一発芸の連続」であるだけに、笑いが勝ち過ぎてしまうと、映画ではなくコントになってしまうという懸念があったはずだが、幸いそうはならなかった。

   素人の野見隆明を起用し、台本を渡さず、リアルに一発芸をさせ、それを撮影するという舞台外の「演出」は、作品に独特の雰囲気を与えている。野見隆明と野見勘十郎のパーソナリティーの結合こそが、この作品の最大の見所であろう。

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