週刊ポスト「ガイガーカウンター被曝量測れない」を専門家に確認

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   まず、「週刊ポスト」の「知っていましたか? ガイガーカウンターでは被曝量は測れない」について触れたい。先週は原発、放射能の記事を1本も掲載しなかったポストだが、今週は1本だけやってきた。日本中で「ガイガーカウンター(正式にはガイガー=ミュラー計数管)」を持った人たちが放射線量を測り、週刊誌は「列島縦断 放射能はこんなに出ている」(週刊現代)といった特集を毎号やっている。ほとんどが放射線量の高い低いを問題にしているが、それを計測する計数管への問題提起をした週刊誌は、私の知る限りなかった。ポストは目の付け所はよかった。

「安物のGM計数管使って測り方も間違い」

   計数管にはGM管とシンチレーション式(正式にはシンチレーションカウンター)とがある。ポストによれば、いま使われている計数管はGM計数管が多く、これが計測しているのは放射線の数であり、人体が放射能によって受ける影響を表す単位のシーベルトはわからない。計測値から対象物のベクレルを「推計」するのがせいぜいだという。

   代表的な放射線にはアルファ線、ベータ線、ガンマ線、エックス線、中性子線などがあるが、このGM計数管が主に検出するのはベータ線で、ガンマ線やエックス線は管を透過して検知されないものが多いという。したがって、人体への影響を正確に調べるためには、「シンチレーション検出器」や「ゲルマニウム半導体検出器」でなくてはいけないのだが、高価なことと動作環境にも制限がある。いま行政がやっているモニタリングポストの計数管はシンチレーション式だから、素人たちがGM計数管で測った値より信用できるとしている。

   週刊誌や市民団体などが公表している数値は、ベータ線を遮断しないなどの測り間違いが多い。いま煽り派週刊誌が放射線量が高い高いと騒いでいるが、安物のGM計数管を使って測り方も間違えているから、「無知な者が危険を煽るために用いれば、害にしかならない」と決めつけている。

   たしかに、いまのモニタリングポストも県や市町村が独自に測っているやり方も、ベータ線を遮断していることは間違いない。理由は、様々な種類の放射線を計測してしまうと、高い値が出てしまうからだ。だが、ここに大きな疑問がある。アルファ線やベータ線は測らなくていいのだろうか? これらは安全なのだろうか? アルファ線やベータ線はガンマ線に比べて透過する力が弱いから、衣服やマスク、手袋で遮断できるかもしれない。だが、すべての子どもたちが外にいるとき、必ずマスクをしているわけではない。口や鼻から入って内部被曝する危険はあるし、体内に取り込まれたアルファ線はガンマ線の20倍も危険だという専門家もいる。こうした分野に詳しい知人にこの記事を読んでもらったところ、以下のような反論をメールで寄せてきた。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

姉妹サイト