福島第1原発事故の収束の見通しが見えないなか行われた東電の株主総会に、個人株主9000人余りが詰めかけ原発からの撤退を求めたが、大株主の委任状であっさり否決されてしまった。
「朝ズバッ!」のスタジオでは、株式所有が法人に集中していることから来る弊害、ひずみにちょっぴり触れた。
株数で「賛成8%、反対89%」
都内のホテルで開かれた総会は、質疑応答で個人株主が「原発からの撤退を定款に盛り込む」よう求めたり、「OBが企業年金を受け取るのは許せない」などさまざまな批判が噴出した。
始まってから4時間後、議案の採決に入り、脱原発などの提案は株数では賛成8%、反対89%であっさり否決された。個人株主から採決のあり方について「賛否(の中身)についてどのような議決になっているのか」と質問が飛んだ。これに議長を務める勝俣恒久会長が次のように答えた。
「2つの大株主から委任状をいただいており、その議決権の数が、会場に出席した株主の議決権の数を大きく上回っております」
どうやら、東電は銀行や生保の大株主から脱原発議案についての反対の委任状をもらっていたようだ。
一民間企業で決められない大テーマ
ゲストコメンテーターとして出演した歌手の谷村新司が次のような指摘をした。
「個人株主の小さな意見が、大きな力で抑え込まれていく図式はもう見あきた感じがする。根本的なところの話合いが全然されていないまま、また続いて行くのかなという感じだ」
これを受けて司会のみのもんたも「こういうやり方をするしかないんでしょうか」と疑問を呈する。
週刊エコノミスト編集主幹の内野雅一「資本主義社会を続けていくのであれば、株式会社というものはこういう形でいかざるを得ない部分がありますが、今回のポイントは一民間企業だけでは決められない大きなテーマ。国民投票という声もあるほどで…」
元東京地検特捜部副部長の若狭勝も「これから国民全体で原発をどうするかという議論が巻き起こる最初のきっかけだと思う」という。
そうした国民の声をどう集約し、政治家が実現していくか。政治の現状をみるとなんとも頼りない。