復興プロセスから漏れ落ちる「震災遺児と引き取り保護者」

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厚労省いまだ実態把握できず

   こうした実態を厚労省はほとんど把握できていない。学校や自治体を通してデータを集めているが、片親の場合はほとんどわからない。幼稚園・保育園に行っていない幼児は、さらに把握がむずかしい。

   NHK社会部の戸田有紀記者は、「一刻も早く数と実態を把握する必要がある。生活不安のため、保護者に子どもたちと向き合う時間的、精神的な余裕がない」と、保護者支援の必要をいう。

   仙台の「あしなが育英会東北事務所」も同じ見方だ。専門の講習を受けたスタッフ26人が、自らも被災しながら子どもを育てる保護者の支援のため、実情の聞き取りを進めている。「あしなが」の奨学金で育ったスタッフもいる。だが、東北事務所の八木俊介さんは「『あしなが』だけでは無理、まだ入り口にも達していない」という。

   現地で子どもたちのケアに当たる仙台青葉学院短大の髙橋聡美講師は、「行政は実態を把握する義務を負っていない。片親だと離婚と同じ考え方。私案だが、復興支援法の中に、遺族支援を位置づける必 要がある」という。

   津波の被害は複雑だ。家を流され、土地も区画も不明、生命保険をどうするかーーこれらに対処するのは、子どもや保護者には無理。法律が保 護しないとという。弁護士の支援や行政窓口の指導も、組み込めという。

   3か月も経っていながら、支援が行き届かないどころか、実態把握もできていないとは。話の中に、89歳の祖父が11歳と9歳を引き取った例まであるとあった。政治家にはアンテナがないのか。「首相退陣」「いや辞めない」と騒いでいる人たちには、次の選挙で消えてもらうしかあるまい。

NHKクローズアップ現代(2011年6月27日放送「震災遺児をどう支えるか」)

ヤンヤン

文   ヤンヤン
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