菅首相は原発事故担当相に細野豪志首相補佐官、復興担当相に松本環境・防災担当相を起用、内閣の顔でもあった蓮舫行政刷新相を首相補佐官にして、刷新相は枝野官房長官、環境相は江田法相が兼務する奇妙な人事を決めた。
ここまでは民主党内でも四面楚歌の窮状を切り抜けるための苦し紛れだとしても、わからないのが自民党参院議員の浜田和幸氏の復興担当政務官だ。明らかな参院切り崩しで、自民は態度を硬化させ国会運営はさらに困難になることはわかりきっている。国民新党の亀井代表の工作らしいが、亀井は副総理への要請を断って首相補佐官に就いた。
側近で固めて布石
今回の人事を民主党執行部もよく知らなかった。そのため、枝野、岡田幹事長も菅に対する言動が微妙になってきた。浜田は当選1回の外交問題専門家で、政界では無名に近い。国会の質問で首相に「早く辞めろ」、ブログでも「余命カウントダウン」などきついことをいっていた人だ。
首相の意図は何のか。フジテレビの松山俊行記者は「自民からの引き抜きという禁じ手まで使ったのは、続投への強い意欲だろう。亀井氏らの動きもあるが、参院のねじれ解消のために、他にも声をかけたといわれる」という。肝心の退陣については、「第2次補正予算、特例公債法案、再生可能エネル ギー促進法案」の成立を条件にあげたが、ここでも時期については言及しなかった。
司会の小倉智昭「70日間延長しても補正以外の法案は通らない。それが狙いでは…」
法案が通らなければ、次の臨時国会に入らざるを得ない。するとまた内閣不信任案は必至で、今度は通るだろう。首相はその前に再生可能エネルギー法案を通さないなら解散に踏み切るかもしれないという読みだ。
竹田圭吾(ニューズウィーク日本版編集長)「問題は復興大臣がどういう権限で何をやるかが明確でない。原発大臣も部下もいないで無責任だ。環境大臣は重要なのに、法相の兼務というのはおかしい。自民には浜田さんより適任が他にいる」
田中ウルヴェ京(スポーツトレーナー)「質問で哲学を聞いた記者がいた。何か聞けるかなと思ったら、 菅さんには何にもない。リーダーというのは、先頭を切るタイプと最後尾から押すのとあるが、どちらもできない人なんだなと思った」
被災者はたまったもんじゃない。といって「辞めろ」という連中もろくなもんじゃない。困ったね。