夏本番を思わせる連日の猛暑。子どもたちにとっては海開きが待ち遠しいところだが、心配なのは原発事故による海水や浜辺の放射能汚染だ。首都圏周辺の海水浴場について海開きの状況を取り上げたが、相変わらず放射能汚染に関するテレビ報道の甘さが目立った。
それだけ危ないということか…
枝野官房長官は23日(2011年6月)、自治体が測定した全国135か所の海水浴場のうち、いわき市の1か所(勿来海水浴場)を除く134か所について、「放射性物質の測定は検出限界以下で、泳いでも健康に影響ない」と安全宣言を出した。
検出限界とは環境省が海水浴場や河川、湖の放射性物質について作った基準のことのようだが、放射性セシウムは1リットル当たり50ベクレル(飲料水は200ベクレル)、放射性ヨウ素は30ベクレル(同300ベクレル)と飲料水よりはるかに厳しい数値となっている。
与良正男(毎日新聞論説委員)が「飲料水と海水の基準が違うのが分かりにくい」と噛みついた。続いて、吉川美代子(TBS解説委員)が「国や東電は発表したあとになってあれはウソだった。これでは安全といわれても心配ですよ」と言う。
裸で海水浸かる危険度
司会のみのもんた「環境省が出たので言わせてもらいますが、ついこの間、川で大量に死んだアユが浮かび上がった。いまだに原因が発表されない。何なんですか」
取材した番組リポーターの米田やすみは「矛盾があるのではと報じた新聞もあるんですが、飲料水より厳しいのは海に入るからという点を配慮したのかもしれません。でも疑心暗鬼にさせるのは良くないですよね」と他人事だ。
矛盾を承知で報道するテレビ局のこうした曖昧な姿勢が、最終的には視聴者を疑心暗鬼にさせ、風評被害を呼ぶ結果になっている。放射能汚染を含む原発事故に関する信憑性では、メディアのなかでテレビが最低と酷評されているのもやむをえまい。