観光スポットだった宮城県石巻市の道の駅「上品(じょうぼん)の郷」がいま復興の拠点になっている。「朝ズバッ!」はここで働く12歳の娘を津波で亡くした母親を追った。
建物が頑丈だったため震災の被害から免れた「上品の郷」は、野菜の直売所、レストラン、温泉施設がある。被災地に近く、幹線道路沿いということもあって、震災翌日から食料を求める人たちが列をなし、物資供給の場として機能してきた。レストランはバイキング形式でランチ1000円、温泉の入浴料は大人1人500円。被災地で商売するのかと批判が出たが、道の駅駅長は「従業員の雇用を守るのも使命」と続けた。
大川小学校で先生・友だちと津波に
「上品の郷」には65人の従業員がいたが、1人が行方不明、ほとんどが家族や親せきを亡くしている。温泉施設で働く42歳の狩野あけみさんもその1人だ。津波で12歳の娘・愛ちゃんが行方不明になった。
「脱力感、喪失感で仕事ができない」と相談のために職場を訪れたところ、1日2~3時間でいいからと励まされた。「大丈夫かなとは思ったが、とりあえずやってみるか…」と続けることにしたという。
働きながら娘の行方を探す日々が続いてちょうど四五日の4月28日、愛ちゃんが見つかった。先生9人を含め77人の死者を出した大川小学校。まだ先生1人を含む7人が行方不明だ。狩野さんは「愛は見つかったが、逆だったかもしれない」と、今も仕事の合間に学校のあった場所を訪れている。
通り過ぎるだけ…国会議員の被災地視察
このVTRが終わったスタジオではしばらく声がなかった。司会のみのもんたがやっと「辛いですよね」と口を開いた。
「こういう現状、与党だ、野党だといわないで現地に行っていろいろ案を出して下さいよ。地元は疲弊しきっている。国が動かないと…」
これを受けるように、東京新聞政治部次長の金井辰樹が「国会議員も現地に入っている人が多いんだけど、ちょっと瓦礫を見たあと、市役所に行って『市長、頑張れよ』。これで見てきたという人が多い。本当の姿見ていないんですよ」と話す。
復興の暁には、被災地の惨状と被災者の忍耐・努力が教科書にも事細かに語り継がれていくだろう。その時、後手に回った政府の対応、国会の体たらくも反省の意味を込めて語り継ぐ、そんな国に変えていきたい。