〈高校生レストラン(日本テレビ系土曜よる9時)〉食べることが大好きな人なら、1度くらいは「自分もおいしい料理を作って人を喜ばせる仕事についてみたいなぁ」なんて思ったことがあるんじゃないかな。高校生レストランを見ていると、こんな高校生活も面白そうだな、こんなレストランがあったら楽しいのになあと思う。いえ、実際にあるのです。ドラマは高校生が運営する三重県の調理実習施設「まごの店」がモデルになっている。
TOKIOの松岡昌宏が、銀座の料亭の板前から高校調理科の臨時教師になった村木役を好演している。板前らしく頑固で厳しく、教師としては未熟な部分もあるけれど、自分が間違っていると思ったら潔く認め、生徒とともに成長していく。そんな役が松岡にぴったりなように思う。
川島海荷「濃すぎる味噌汁」の思い
真衣(川島海荷)は厨房を外されてホールスタッフを命じられたり、村木から「味噌汁の味噌が濃すぎる。レシピ通りに作らなきゃ駄目だ」と注意されたりで、自分は本当に料理が好きなのかわからなくなっていた。レシピに忠実に作ることを重視している村木だが、真衣が3年前に母親を亡くし、以来、父親の食事を作っていることを知らなかった。
自分は生徒のことを何もわかっていない! あの味噌汁は真衣と真衣の母親にしか出せない味で、真衣は味噌汁を作ることで母親を思い出していたのだ! 村木は真衣の作った味噌汁の味をアレンジし、レストランで出すことを決める。
「味に正解なんてない。レシピを超えてもらってかまわない。けれど、自分の味を見つけるまではレシピを守れ」
村木の生徒への新しいメッセージはなかなか奥深い。
ドラマで印象的なのは俳優たちの目だ。松岡のまっすぐな目、真衣を演じる川島の純粋な目、部内随一の腕を持つ陽介役の神木隆之介の凛とした目。どれも嫌味がなくさわやか。町おこしのため、高校生レストランを思いついた町役場職員の岸野を演じる伊藤英明の生き生きとしたおっちゃんぽい目も良い。おっちゃんは言いすぎかもしれないが、海猿のときとの落差が面白く、伊藤の新しい魅力発見である。
(てらっち)