岡山県で奇妙な交通事故があった。71歳の女性と3歳の孫の男の子がワゴン車にはねられ、女性は死亡、孫も重傷を負った。運転していた男性(70)は、知らぬ間に睡眠薬を飲まされていた。ワゴン車には女性(59)が同乗していたが、事故の直前に降りて無事だった。リポーターの阿部祐二がナゾを追った。
清涼飲料水に3種類の導入剤
事故があったのは5月13日(2011年)午後2時50分ごろ。岡山県浅口市の国道を蛇行しながら走っていたワゴン車が歩道に乗り上げ、2人をはねた。運転していた男性は警察の事情聴取の最中も朦朧とした様子で、最後には眠ってしまうほどだった。尿検査の結果、睡眠導入剤など3種類の睡眠薬が検出された。本人は「睡眠薬を飲んだ覚えはない」といい、警察で捜査したところ、同乗していた女性が昼食のとき、清涼飲料水に混ぜて飲ませたと供述、警察はこの女性を重過失致死傷の疑いで逮捕した。
なぜ睡眠薬を飲ませたのか。2人の言い分は異なっている。女性は「関係を求められるのが嫌だった」と主張、男性は「そんなことはない」と否定、「金を返済したくないからではないか」といっている。男性によると、この数か月の間に女性に約1000万円を貸していたという。
信号待ちのスキに自分は逃げ出す
容疑者の女性には、このほかにも不可解な点があると阿部が指摘する。1点目は事故の日。ふだんはそんなことはしないのに、車で自宅まで送ってほしいと頼んでいる。2点目は事故の直前。信号待ちの時に車から突然降りている。3点目は車から降りた後、タクシーで現場に駆けつけている。
キャスターのテリー伊藤は「羽振りのいいお爺さんが狙われたのか」と推測するが、警察は動機など慎重に捜査しているという。
事故で重傷を負った3歳の男の子の父親は、「お金の絡んだ問題と聞いている。そのようなことで2人が犠牲になるなんて許せない」と話す。何の落ち度もない祖母と孫が中高年の金銭に絡んだ揉め事の犠牲になってしまった。