「ホットスポット」というのをご存知か。周辺に比べて放射線量が多い場所のことだ。これが福島・南相馬市にあった。南相馬市は福島原発からの距離と放射線量の実測値から、いま4つに色分けされている。(1)原発から20キロ圏内の警戒区域(2)計画的避難区域(3)緊急時避難準備区域(4)30キロ圏外で規制のない区域だ。
ホットスポットは(4)の中にあって、警戒区域と同じくらいの放射線量を示す。40年前からここで営んでいる酪農家は、線量が高いので干し草が使えないと輸入している。エサが変わって牛の食欲が落ちているという。鹿島小学校には30キロ圏内の原町第三小学校の児童も一緒にいるが、教室内でもみなマスクをつけたまま。むろん外では遊べない。
わずか10メートル先は計画的避難区域だという民家では4・0マイクロシーベルトだった。年間では30ミリになる。住民は「保安院や東電は大丈夫と他人事のようにいう。避難区域にしてほしい」と話す。
なぜか「対象区域拡大」に渋い国
司会の小倉智昭「住民は避難しようと思っても、お金が出ないというんだよね」
笠井信輔アナ「国が避難しなさいといわないと。市がいうと混乱してしまう。市はいま国に早く指定してほしいとたのんでいるところだそうです」
小倉「地形などによっても違うんだし、差が出てしまう」
竹田圭吾(ニューズウィーク日本版編集長)「同心円はナンセンスだと早くからいわれているのに動かないということは、 賠償の対象区域を狭めようとしていると疑われてもしかたがない。もっと小さな同心円を描くとか、個別の対応が必要だ」
ボードの地図でみると、たしかに無指定の区域で何か所も数値の高いところがある。数値はどれも市が測定したものだ。また、飯館村を飛び越えた伊達市内、福島市に近い複数の地点でも、年間20ミリを超える(伊達市の測定)ところがあった。
笠井「集中豪雨のように狭い地域の指定は可能だと思う。いま住民は慣れてしまって、マスクもしないで過ごす人が多くなったという」
小倉「避難するにも、避難先の方が線量が高いことだってある」
竹田「なぜホットスポットになるのかはわかっていない。脅すわけじゃないが、山形とか長野、新潟だって心配ですよ。国が主導して先回りしてもらわないと」
小倉「区域を広げるのが怖いのかもしれませんがね」