「想定内」が次々消えて…あるかもしれない仙谷総理

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   元連合会長で菅内閣の特別顧問も務めていた笹森清さんが6月4日(2011年)、肺炎で死去した。享年70歳。笹森さんとは何度か呑んだことがある。今でも思い出すのは、中国・西安の屋台街に行き、横長の椅子に座って、何の肉だかわからない焼き鳥風の串を肴に、ビールをしこたま呑んだことだ。西安大学に留学していたことのある女優・寺島しのぶの従姉妹の女性が連れて行ってくれたのだが、談論風発、楽しい一夜だった。

   豪快な人だったが、ここ1年は体調が思わしくないようで、会合で会っても酒にはほとんど口をつけなかった。4月に、菅総理の密命を帯びて中国へ行った。原発の現状を中国側に説明に行ったのだと聞いていた。最後の仕事が菅総理のアドバイザーというのでは、本人も働き甲斐がなかったのではないか。近々会って話を聞いてみたいと思っていただけに、残念である。

岩手見捨てた小沢一郎もう出番なし

   さて、居座るかに見えた菅総理だが、身内からも早く退いてくれと造反され、どうやら今月いっぱいか来月半ばには首が刎ねられるようだ。しかし、ここへ来ても後継者が決まらず、自民党との大連立も暗礁に乗り上げてしまった。

   ポスト菅は誰になるのか。週刊誌も百家争鳴である。「週刊アサヒ芸能」は「小沢と安倍『新党で復権』密約をすっぱ抜く」で、ドイツの新薬やラジウム温泉療法で体調のよくなった安倍元首相が、このところ小沢一郎と何度か接触していて、安倍・清和会と小沢一派が組んで新党を立ち上げるというものだが、信憑性のほどは疑わしい。

   「週刊ポスト」は「小沢一郎が口にした『次の総理』の名前」と、何やら思わせぶりなタイトルだが、要は小沢の側近が漏らしたのは、「どんな手を使っても、どれだけカネがかかっても真っ先に原発問題を収束させることが、今の政治に求められる最大のリーダーシップだ。それをしっかりやる覚悟さえあれば、今は経験や経歴はどうでもいい。例えば若い原口君でも総理をやれる」といったそうな。新味も可能性もなさそうだ。

   「週刊現代」はあっさり「原口はもうあり得ない」と斬り捨て、「次の総理は、前原か枝野か」と、こちらも想定内の切り口。「週刊朝日」は江田五月法相、馬淵澄夫首相補佐官という名前を出しているが、「新味」だけで実現性は薄かろう。

   「週刊新潮」によれば、キングメーカーになった仙谷由人官房副長官の意中の人は前原と枝野だが、前原は外国人からの違法献金問題があり、まだ蟄居の身だから、枝野で決まりのはずだが、枝野が官房長官に就任したとき、事前に仙谷に相談がなかったために両者の中は冷え込んでいるという。そこで最後には仙谷自身が出てくると読む。これはありうるかもね。

   「週刊文春」は1000人アンケートを実施している。上位5人は小沢一郎240票、枝野幸男170票、前原誠司106票、岡田克也102票、原口一博73票。かつて自民党の後継が三角大福中といわれたことがあった。田中、三木、大平、福田、中曽根、みんな総理になった。その伝でいえば、鳩山、菅ときて、残っているのは小沢だけだから、小沢という目も全くないというのではないだろうが、私見だが、私はないだろうと思う。

   文春は岩手を見捨てて顧みない小沢に、有力後援者が続々「絶縁宣言」していると書いている。

   「そもそも国難のとき頼りになるという期待感が小沢にはあった。ところが、いざとなったら何もしないことがよくわかった。選挙の時だけ、地を這えと人を動かすのに、被災地に誰も寄こさない。先日、岩手で経営者ら二百人が集まった時、みんな『小沢は地に墜ちた』と非難囂々でした」(小沢の元選対幹部)

   この言葉が今の小沢を物語っている。非常時にこそ豪腕が発揮されるはずだというのは幻影に過ぎなかった。手勢を集め、居酒屋でおだをあげるくらいしか能のない小沢ではこの国難は乗り切れまい。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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