本物の選挙よりよっぽど熱いAKB48の選抜総選挙。よくもまあ、考え出したものだ。これにまた、大枚を払って若者たちが熱狂するんだから、見方によっては「世も末」。なかには知事選に出るなんて娘もいる。政治もなめられたもんだ。
「総選挙開票」韓国、台湾、香港に中継
選挙結果発表の会場となった日本武道館にはファン8500人、メディア150。全国86か所の映画館での生中継に3万5000人、 さらに韓国、台湾、香港にも中継された。
総選挙はこれが3回目で、150人の候補者の中から次の新曲を歌うメンバーを決める。選ばれるのは40位までで、3段階に分かれる。 トップ12人はテレビでの露出がメインになるから熾烈をきわめる。とくに7位までは「神7」といわれて、これまでメンバーは不動。これがどうなるか。そしてナンバーワンの座、昨年は1、2位の入れ替わりがあった。
投票券付きCDというの がミソで、このため男たちが50枚、100枚と買うんだそうだ。多くは武道館にもやって来て、40位から順に行われる結果発表に熱狂する。
番狂わせがあったのが、板野友美(19)で4位から8位に落ちた。代わって8位だった柏木由紀(19)が3位に。柏木は「テレビや雑誌で7人で切られることが多かったので、がんばった」とあいさつした。
注目のトップは入れ替わった。2位の大島優子(22)12万2843票、1位は前田敦子(19)で13万9892票で返り咲いた。上がっても下がっても涙、涙だ。それにまた会場が応える。いやはやすごい。
「政治家目指すメンバー出てくるかも」(秋元康)
2005年にプロデューサーの秋元康が 仕掛けた「会いに行けるアイドル」だが、09年にファン投票を「選抜総選挙」と名付けて実施してから、これが年中行事、社会現象になった。むろん、CDの売り上げにもつながる。今回は175万枚を売ったそうだ。なんと頭がいい。
そこで会場でアンケート。あなたならAKB48にどんな将来を描く? 「世界進出、マイケルを抜く」「外国とコラボ」「AKB党に、政治をまかせちゃおう」「大学を作る」などなど。秋元にアンケート結果をぶつけた。大学を作るには「難しい」。政治を任せるには「AKBとしてはないが、政治家を目指すメンバーが出てくるかもしれない」。「熱海いいかも」というのもあって、「サッカーのフランチャイズのように地域型があってもいい」とコメント。
システムとして面白い
取材した山本麻祐子アナは「初めてでしたが、なんか青春時代を思い出して、保護者のような気持ちに…」という。田中大貴アナも「(野球で)レギュラーとれなかったけど、あいつもがんばったから送り出そうという心境」と興奮気味だ。
司会の小倉智昭「芸者さんがやったら、おじさんがいく」(爆笑)
意外やコラムニストの深澤真紀がAKBに詳しく、「好きですね。アキバへも見にいった。システムとしてAKBは面白い」
ショー ン・マクアードル川上(コンサルタント)「企業がこのやり方に興味を持っている。半製品を出して、客と一緒に完成品を作っていくというやり方にね」
小倉智昭は終始渋い顔だったが、「ボクは個人的には篠田麻里子の4位がちょっと残念でしたね」だと。まったく、このオヤジ。