今週11日(2011年6月)土曜日に東日本大震災から3か月となるが、被災地はいま2つの脅威にさらされている。食中毒・感染症とヘドロだ。石巻と相馬の住民は絶望的な闘いの中にいた。
岸本哲也レポーターが訪れた石巻漁港では、大量の腐敗した海産物の悪臭の中で漁民たちが格闘していた。 津波で破壊された水産加工場の冷凍倉庫にあった海産物の処理だ。海へ捨てる前に梱包材などを仕分けしないといけない。
加工場は100か所以上あった。廃棄される海産物は膨大な量になる。無数の海鳥が群がるなか、仕分けは遅々として進まない。
人食いバクテリア繁殖の心配
「とにかく臭い」
岸本は顔をしかめる。エビ、小魚、大きな魚などの冷凍・冷蔵がストップしてから3か月も経っているのだから当然だ。ハエや蚊も大量に発生している。食中毒や感染症の媒介のもとだ。
避難所にはダニの発生もあった。湿気が大敵。「ダニバスターズ」というボランティアがいて、被災者の寝具を乾かしているがなかなか追いつかない。
相馬市をルポした木下康太郎アナはヘドロの海を歩いた。農地を含む1600ヘクタールをヘドロが覆っている。「厚さ10センチとしても160万平方メートル。打 手がない」と市職員はいう。しかも、ヘドロは乾燥すると風に舞い上がる。さまざまな細菌が潜んでいるから、吸い込むと危ない。専門家は破傷風、レジオネラ、カビ、人喰いバクテリアなどをあげる。とくに危険なのは人喰いバクテリアで、慢性疾患をかかえていたりすると死に至ることもある。
25mプール4000杯分
岸本「私も取材スタッフものどが痛くなった。木下アナは目が痛いといっていた」
司会の小倉智昭「石巻は臭いがすごいといっていた。腐った魚を投棄するためには仕分けしないといけないんだ」
岸本「作業中に倒れる人も出ているようです」
魚はいずれは海に捨てられて片が付くが、捨てる場所もないのがヘドロだ。相馬市だけで、25mプールで4000杯分もある。海から来たものなのに、高温で細菌が増殖していると海には戻せないという。
福田和也(作家)「解決策がないといっても、何とかしないといけない。国家的な態勢でやるしかないでしょう。ただ、政治が止まっているからね」
小倉「政治は止まっても感染症は止まらない。何とか頼みますよ」