菅内閣不信任案採決で、民主党でたった1人賛成票(白票)を投じた松木謙公議員はドン・キホーテか。親分の小沢一郎元代表は欠席だった。
直前の代議士会で菅首相が辞任を示唆したことで、小沢が「いままでなかった発言を引き出したのだから、自主的判断でいいだろう」と後退、前夜(2011年6月1日)に70人余が集まった造反グループはことごとく反対に転じた。造反をリードしてきた松木は「おかしいよ。自民党も民主党もみんなおかしい。何なんだよ、これは。オレは真面目にやってんだ」と叫んだ。
「みんなに押さえつけられたから身体が痛い」
松木が賛成意思を変えなかったため、同僚議員が本会議場への入場を止める一幕もあったが、松木は「政治家は自分で決めないとダメだ」。ようやく席についたあとも、周囲の説得には応じず白票を投じた。
当の小沢は本会議を欠席。これにも「小沢さんは小沢さん、ボクはボク。自分で決める。最後は」と言い放ち、渡部恒三最高顧問が「白票もって上がっているときに親分が欠席っていうんじゃ子分がかわいそう。かばってやりたいな」と無責任に同情論。
リポーターの所太郎が採決の後で松木に聞いた。
松木「みんなに押さえつけられたから身体が痛い。ボロッと変えてしまったら意味がわからなくなる。自分の考えでやらせていただいたということです」
「おかしいよ」と口走ったことには、「ちょっと言い過ぎましたね。前言撤回ということで…。頭に血が上ったかもしれない。政治家としては大変恥ずかしい」と話し、処分については「そのうち出るでしょうから待ちましょう」と腹を括っている様子だ。松木がこの取材を受けていたころ、小沢氏六本木のカラオケ店で開かれた自派の会合に出ていた。非情な政治の世界を象徴する光景だ。