三陸地方を代表する銘菓「鴎の玉子」が甦った。製造元の「さいとう製菓」(岩手県・大船渡市)は、大震災の当日、齋藤俊明社長は盛岡に出張していて不在。社員がビルの屋上から撮影したVTRには、工場に次々と押し寄せる濁流とその横を次々と押し流されてゆく家屋、「誰か止めてくれ!」という悲痛な声が記録されていた。ホームページではこの映像も公開している。
チリ津波でも被害
齋藤社長は翌日、盛岡から戻り、大急ぎで工場へ足を運んで絶句した。
「かなりの痛手を被っているとは思っていたが、これほど酷いとは思わなかった」
しかし、社員を路頭に迷わせることはできない。数日後には再起を決意して再建に動き出した。「さいとう製菓」でたまご作り20年の金野雄氏は、「社長は何でも先頭に立ってやる人。その社長を支えなければと、気がついたら20年も経っていた」と苦笑い。
この会社が津波に襲われたのは今回で2回目だ。最初は昭和35年のチリ地震津波。このときも大きな被害を被り、先代社長が作った手製の看板が一時行方不明になった。それを見つけたのが現在の俊明社長で、今回もまた奇跡が起きた。看板がまたもや行方不明となったが、俊明社長の息子の俊満氏(専務)が見つけた。
司会のみのもんた「こういうことって本当にあるんですね」
コメンテーターの吉川美代子(TBS解説委員)「東北の人は本当に忍耐強い。頭が下がります」
池田健三郎(経済評論家)も「本来のリーダーのあるべき姿をあらためて示してくれている」と感心する。
さいとう製菓は仮本店や支店ですでに営業を再開、取り寄せも代金引き替えで対応している。
文
ナオジン| 似顔絵 池田マコト