ついにというか、やはりというか、昨日(2011年6月1日)、内閣不信任決議案が衆院に提出された。党首討論を経ての提出だったが、この期に及んでもわからないのは、では誰が後継となって、どのように被災地復興を進めていくのかという点がまるで見えてこないことである。
なお10万人を超える避難所暮らし
「いま一番大事なのは、現在なお10万人を超える避難所暮らしのひとたちの生活を一刻も早く何とかしてほしいということだ。それなのに、 司会のみのもんたが、毎朝の挨拶のように繰り返すコメントである。金井辰樹(東京新聞政治部次長)がプロの立場から解説する。
「この時期、何をやっているのかという声のあることは議員たちも百も承知で、それでも菅さんの下での復興でいいのかという疑問が与野党を問わず広がっているということも事実だ」
今朝(6月2日)の1面はどの新聞もこのニュースがトップだ。ボードに張られた各紙を見ながら、金井が紙面作りの裏側を打ち明ける。
「同業者からみると、各紙とも苦渋に満ちた見出しだ。否決可決どっちに転んでもいいように配慮している。夕方から紙面作りを始めて、刻々と事態が変わっていった。小沢グループが70人集めたというは想定外でした」
あまりにも…あまりにも低次元の動機
小松成美(ノンフィクション作家)は「子ども手当てなど政策が対立する人たちが手を組んでいる」と今度の動きに疑問を投げかける。北川正恭(元三重県知事)は「民主、自民それぞれが分裂含みで、政界再編にすすむならそれも一つの方向だ」という見方を示した。
最後に生出演した毎日新聞主筆の岸井成格がこの騒動を斬って捨てた。
「何をやっているのか嫌になる。世界に顔向けできない。動機が不純で大義がない」 背景は2つあるという。1つは自民党が菅政権を追い詰めて菅首相のもとで選挙をやれば圧勝できると思っていること。もう1つは菅首相の「脱小沢」に対する小沢一郎元代表の個人的怨念。その2つが結びついた。
「だから、もともとの動機の次元が低いんです」
国民の政治へのさらなる絶望だけが残った。