いまでも東日本大地震で被災した人たちの避難所となっている中学校の体育館に吹奏楽部の演奏が響き渡った。宮城県石巻市にある住吉中学の吹奏楽部によるコンサートが開かれたのだ。
津波で校舎も楽器も水没
住吉中学校は海岸から5㎞ほど離れていたが、津波はここまで押し寄せ、4階建て校舎の1階と体育館が水没。普段は4階の音楽教室に置かれていた吹奏楽部の楽器も、翌日に卒業式を控えて体育館に移動させていたため沈んでしまった。
楽器を引き上げることができたのは数日後。潮と泥にまみれ、そのままでは使えない。吹奏楽部顧問の渡邊郁子先生は「真水で洗い落とせば何とか使えるとは思いましたが、避難の方たちが水で困っているのに、私たちだけがそんなに多量の水を使うのは申し訳ない気がして、洗い落とすことは諦めました」と語った。
音楽大や個人が寄贈
そこで、渡邊先生が目を付けたのが文部科学省のホームページに開設されていた「東日本大震災 子供の学びポータルサイト」。ここに吹奏楽部のための楽器の提供を呼びかけたのだ。
「反応はいち早く現れました。東京の音楽大学や遠く離れ九州の学校から、個人の方からも寄贈されました」と渡邊先生。コンサートでは、こうして全国から寄せられた善意に感謝のメッセージとして、いきものがたりの「ありがとう」で幕を閉じた。
司会のみのもんた「日本人もまだまだ捨てたものではない。みんなが被災された人たちのことを心配している。嬉しいじゃありませんか」
コメンテーターの若狭勝(元東京地検特捜部公安部長・弁護士)「こういう目に見えない小さな善意が被災した人たちの大きな支えとなっている。これを忘れてはならない」