いまでも東日本大地震で被災した人たちの避難所となっている中学校の体育館に吹奏楽部の演奏が響き渡った。宮城県石巻市にある住吉中学の吹奏楽部によるコンサートが開かれたのだ。
津波で校舎も楽器も水没
住吉中学校は海岸から5㎞ほど離れていたが、津波はここまで押し寄せ、4階建て校舎の1階と体育館が水没。普段は4階の音楽教室に置かれていた吹奏楽部の楽器も、翌日に卒業式を控えて体育館に移動させていたため沈んでしまった。
楽器を引き上げることができたのは数日後。潮と泥にまみれ、そのままでは使えない。吹奏楽部顧問の渡邊郁子先生は「真水で洗い落とせば何とか使えるとは思いましたが、避難の方たちが水で困っているのに、私たちだけがそんなに多量の水を使うのは申し訳ない気がして、洗い落とすことは諦めました」と語った。
文
ナオジン| 似顔絵 池田マコト