自治体・学校は「帰らせない対策」
郊外の自治体や学校では「帰らせない対策」が動き出している。横浜市の小学校では、保護者が迎えに来るまで生徒たちを学校が預かるというルールを作った。大震災で一部を集団下校させたことに父兄から不満が出たからだ。同時に、家族の間でいざというときにどう連絡をとるかを決めておく。
昼間人口60万人の中央区は、企業に「社内に泊めて」と訴えている。ある建設会社は、あの日1200人の社員の8割が帰宅しなかった。社屋は直下型に備えた耐震設計で、非常食、レトルト、クラッカーなどの備蓄もあった。翌朝、社員たちは地域を見て回って備蓄食を配って歩いた。「地域の一員ですからね」と会社はいう。
中央区は買い物客も考慮して、デパートなどにも受け入れのスペースの確保と非常食の備蓄を要請している。企業の従業員は自治体との連携で救助のボランティアにもなりうる。「動かなくていい社会は、信頼感で成り立つのです」と指田さん。
直下型では帰宅困難者は650万人になるともいう。今回の体験を教訓に、まずは家 族間の取り決めからというのが結論だった。ただ、ひとつ抜けている。鉄道だ。動かせるものは動かすべし。京王線など一部私鉄の素早い対応が多くの足を救ったことも覚えておいた方がいい。JRが駅を閉めてしまったのがけしからんと、石原都知事は抗議文を出している。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2011年5月30日放送「『帰宅できない』~どう備える首都直下型地震~」)
文
ヤンヤン