水泳の北島康介選手(28) がスタジオに登場した。司会の羽鳥慎一が清水宏保(スケート金メダリスト)を見て、「2人合わせて金メダル5個。こんな番組ありますか」という。2人が会うのは夜ばかりで、北島は清水を「いいお兄ちゃん」と言うのだが、きょう(2011年5月31日)のお話はそれとは無関係。
被災地から「泳ぎたい」のメッセージ
北島選手が気仙沼の子どもたちを訪ねたのを密着取材した。きっかけは3月31日付の産経新聞。「被災地からのメッセージ」欄に、気仙沼のスイミングアカデミーの6人の子どもたちが、「泳ぎたい」と書いた紙をもって並んでいる写真が載った。バックの建物は津波でがれきの山に埋もれ、壁に「スイミングアカデミー気仙沼」の文字が見える。プールの復旧は当分は無理とわかる。これを見て、北島選手が現地に入ったのが5月27日だった。町の真ん中に立って、「すごいね。津波ってこんなふうになっちゃうんだね」
北島が最初に小学校を訪ねた。プール清掃の日で、北島は一緒にモップをもって作業。子どもたちは「かっこいい」「『気持ちいい』って言ってみて」などと屈託がない。しかし、生徒の3分の1が家を失い、10人が親を失っていた。
北島はいつも子どもたちに「大きな夢を持とう」と話すのだが、この日は7年前の始めて金メダルをとったオリンピックの映像を見せた。あの「気持ちいい」と勝ちどきを上げたアテネだ。頑張っているところを見せたかったという。
泥だらけのゴーグルに言葉もなし
次に訪れたのがスイミングアカデミーだ。子どもたちが迎えに出ていたが、被害は写真で見たよりはるかにすごい。がれきを踏み分けてプールへ行くと、がれきの山だ。北島が「こんなになっちゃって」と拾い上げたゴーグルは、泥でグチャグチャだった。立ち尽くす北島。
子どもたちに「辛いと思うけど、絶対あきらめないで」と声をかけた。最後に「絶対あきらめない」とまた紙に書いて、北島も入って写真に納まった。
北島「こういうときに行けてよかった。子どもたちの姿を見ると悲しいが、みんな本 当に元気で、元気をもらえたし」
羽鳥「目標を与えた?」
北島「そう思ってくれたら嬉しいですね」
北島は子どもたちからもらった寄せ書きを見せた。折りたたみになったボードにぎっしりと言葉があった。
「うれしいですね」
実は、北島は先の日本水泳で肉離れを起こしていた。飛び込んだとたんだったという。
「始めてだったが、泳いだ」
それでも世界水泳への代表になった。そのPRビデオにも出ている。それが流れると清水が爆笑、スタジオも大笑い。
羽鳥「世界記録で勝ってください。プレッシャーかけてるわけではありませんが、 子どもたちのためにも」とプレッシャーをかけていた。