脱サラ漁師が壊滅の島復活!ネットで漁業オーナー呼びかけ

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   東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県塩釜市浦戸諸島の桂島で、「仏様」とも「救世主」とも呼ばれている青年がいる。36歳の新米漁師、小泉善雅さんだ。

   桂島は松島湾に浮かぶ人口216人の小さな島。高齢化が進み、65歳以上が半数を占める。のりやカキの養殖で生計を立ててきた。しかし、震災で大きな被害を受け、大半の漁師が廃業を覚悟した。

   そこに現れわれたのが小泉さん。塩釜出身で東京でサラリーマン生活を送っていたが、5年前にUータンして漁師をめざし、修行を積んでいた。

1口1万円の出資「収穫できたら海産物送ります」

   今年になって、小泉さんは桂島の組合に加入しようとしたが、「いつまでやるか分からん者を入れるのはどうか」という空気が強かった。そうした中、宮城県漁協の塩釜市浦戸支所運営委員長の千葉眞澄さんが後押ししてくれた。小泉さんとは親子ほど年齢差があるが、「島の再生には新しい血が必要」と思っていたのだ。正式に組合員になったのは震災の1週間前だった。

   小泉さん自身、震災で舟も流され自宅も津波にのまれ、避難所生活だ。なんとかしなければとあるアイデアを提案した。インターネットで呼び掛ける1口1万円のオーナー制である。全国から資金を集め、それで資材や設備を購入、カキやのりを養殖し、収穫した海産物を送るという制度だ。はじめは説明会を開こうにも誰も集まってくれなかった。そこでまた、小泉さんの情熱に動かされた千葉さんが仲介してくれた。みんな半信半疑だったが、この窮状を打ち破るにはやってみるしかなかった。

1か月半で1億2000万円の支援金

   始めてみると、わずか1か月半で1億2000万円の支援金が集まった。

「ポッと出のおにいちゃんが1億円以上集めた」

   千葉さんも驚いた。申し込みにはメッセージも添えてあった。

「品物はいらない。頑張ってください」
「少しずつでも支援を続けたい」

   どんなところでどんな人がやっているのかと、直接訪れてくる人もいた。年内には海産物を届けるようにしたいと思っている。

   司会のみのもんたが電話で聞く。

「なんか、あなたの銅像を建てようかっていう話もあるそうですよ」

   小泉さん「私は…、ただ、窓口を設けただけでして」

   小さなお年寄りの町や村がアイデアひとつで豊かになったという話はときどき耳にする。桂島のオーナー制度も夢のある話だ。

文   一ツ石| 似顔絵 池田マコト
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