GDP6割の個人消費も落ち込み
国谷「電力需要は40年前と比べると2.5倍、この10年間でも1.5倍となっています。今回の節電は企業活動の足を引っ張ることにならないのでしょうか」
第一生命経済研究所の首席エコノミストである熊野英生が答えた。「ネガティブ・フィードバックが懸念されます。企業活動が落ちれば雇用が減り、雇用が減れば家庭の収入も減ります。日本の電力需要の半分以上は家庭で、やはり家庭での節電が大きなカギとなりますね」
国谷「家庭用エアコンの送風だけで扇風機並みの涼しさが得られると言われています。電力の消費大国日本でのこれからの生活に、改めて考えて見る必要があるのではないでしょうか」
企業活動が落ちれば経済が縮小するというが、個人消費はGDPの6割を占めていて、家庭の節電、さらなる消費低迷こそ景気の足を引っ張ることになりかねない。
電気をムダに使うことはないけれど、これまで「オール電化」などといって、ちょっと電力供給が減るとままならなくなる暮らしを押しつけてきた電力会社に問題はないのか。まず家庭がガマンというのでは、単に政府の節電キャンペーンのお先棒担ぎの番組である。まあ、これをきっかけに電気浪費社会を改め、原発依存を見直すというのも悪い事じゃないけれど…。
ナオジン
*NHKクローズアップ現代(2011年5月26日放送「乗り越えられるか『電力危機』」)