「子供たちの年間20ミリシーベルトに基準を撤回せよ」「国の責任で校庭の除染を」
福島県内の児童・生徒の保護者ら500人がプラカードやのぼりを掲げて23日(2011年5月)に文部科学省を訪れて訴えた。どうやらあまりに高い基準設定のために、累積した放射能の除染など、政府の対応がおろそかになっている苛立ちが保護者たちに積もり積もって怒りが噴出したようなのだが、「年間20ミリシーベルトの基準撤回」の理由がよく分からなかった。
親たちが怒るのも当然
司会の加藤浩次は「年間20ミリシーベルトの上限で1ミリシーベルトを目指すって意味が分からない。上限があるならそこまで行っちゃうんじゃないですかね」と疑問を呈した。
基準の根拠となったのは、ICRP(国際放射線防護委員会)が定めた基準。通常、一般の人が1年間に浴びる放射線量は1ミリシーベルトを超えないよう求めているが、原発事故直後は年間20~100ミリシーベルト、事故収束時は1~20ミリシーベルトとしている。これをもとに4月19日、文科省が福島県内の校庭の使用を制限する放射線量の基準として、毎時3.8マイクロシーベルト以下、年間20ミリシーベルトを超えないよう設定した。
ところが現在、放射線量の数値はこの上限を大幅に下回り、校庭の使用が可能にもかかわらず、この基準があるために県内の学校では体育の授業はすべて体育館で行い、校庭での部活や校庭で遊ばせないなど制限しており、子供たちのストレスはたまる一方のようだ。
しかも、上限に達していない現在、校庭の土壌に溜まった放射能物質の除染など対策がおろそかになっているという逆効果も目に余る。
東大教授のロバート・キャンベル「上限を下回るならいいという発想から始めないでほしい。放射線量の実態が今どのくらいあって、どうすれば下げることができるかを旗印にしてやって行かないと。親が怒って当然じゃないですか」
基準を示し制限すればそれで良とする政府のやり方。保護者が憤慨し、今回の訴えになったのはむしろ遅いくらいかも……