文科省の「放射線量地図」。街の関心は高いが、さてどこまで信じられるか。近畿大学原子力研究所の若林源一郎講師の協力で、都内各地の放射線量を実測してみると、このときの公表された線量は東京・新宿「毎時0.0629マイクロシーベルト(μS/h)」だったのだが……。
東京タワー下では0.08~0.09μS/h、東京駅前0.09~0.11μS/h、葛飾区金町駅前では少し高くて他所の2倍くらい、東京都庁前は0.09μS/hだった。
実は、「東京・新宿」という測定地点は新宿区の住宅街にあるビルの屋上、地上20メートルの高さにあった。そこですぐ隣のビルの屋上で測ってみると同じ数字だった。ところが、地上に降りて測ると0.09μS/hで少し高い。地上はたまるので高く出るという。
子どもたちが遊ぶ公園はどうか。砂が0.18μS/h、 植え込みはそれより少し高い。タイルがはがれて草がはえているような、つまり雨水が集まるようなところでは0.82μS/hもあった。
若林講師は全国の研究者と協力して、生活圏での放射線量の実測結果をネット で公表している。「生活環境での値を知って、冷静な対処をするための基礎データにしたい」と話す。
都内だって「管理区域並み」の街ある!?
「モニバド」は次に計画的避難地域になっている福島・飯舘村に行った。福島県の発表は2.94μS/hだったが、役場前、民家では3.3μS/hと大きくは変わらない。しかし、民家の雨どいの落ち口付近は20.0μS/hにはねあがる。屋根を流れた水が放射性物質を集めてくるからだ。この農家の土壌は5.2μS/h。表土を取り除くと線量はぐんと下がった。
司会の羽鳥慎一「子どもが心配ですね」
お母さんの前田典子(モデル)「子どもは土を触りますし、校庭で土ぼこりがたてば、放射性物質が混じっているかもしれない」
青木理(ジャーナリスト)「都内だって、場所によっては放射線管理区域並みかもしれない」
羽鳥「標準というのはどれくらいなんですか」
若林講師「福島の事故がなければ、0.05~0.1μS/hですね」
羽鳥「飯館の20というのは異常?」
若林「いや、数字を見れば高いですが、雨どいですからね。われわれはもとのと7000ベ クレルくらい自然にもってますから、それに較べたらたいしたことはない。健康に被害が出るレベルではないし、測定して安心した」
羽鳥「どうして値がこんなに違うんですか」
若林「(文科省の)測定機器は60年代の高濃度汚染のときに、監視するために設置したもので、環境の細かい変化に影響されないように、高い所に置いてある。だから、福島の事故もすぐにわかった」
測定器と地上を測って回るのとでは意味が違うということか。