厚生労働省によれば、岩手・宮城・福島3県で失業手続きを行った人が約11万人及ぶことがわかった。東日本大震災は多くの人から仕事を奪ったのだ。リーマンショック以来、失業率の高止まりに悩んでいる日本にとって、雇用情勢が一段と深刻化することは間違いない。そこで今、長期的な雇用回復、復興への道の一つとして期待されているのが職業訓練だ。
「基金訓練制度」空回り
国谷裕子キャスターは「非正規雇用が3人に1人といわれています。なかなか正規雇用されない時代。失業者に何が求められ、行政などがどう援助しているのかを追ってみました」と語った。
まず、職業訓練先進国といわれるデンマークをレポート。国、企業、労働組合が一体となって失業者を訓練し、介護や環境分野などの成長産業に移動させる『モビケーション』という戦略が、産業の新陳代謝を活発にしているという。
日本では職業訓練と生活費の支給がセットで受けられる「基金訓練制度」に受講者が集まっているが、肝心の雇用にはなかなかつながっていない。神奈川県の職業訓練所では、以前は溶接や機械加工などの訓練を受講した訓練生の約9割が雇用され、その技術力が高く評価されていたが、現在は採用率は7割まで下がっている。
採用主である県内の中小企業の社長は、「採用したいが、仕事を中国や韓国に持っていかれた。仕事が減っているので、採用したくてもできない」と語る。
訓練生だった男性の「採用面接に行ったら、実践経験はあるかと聞かれ、正直にないと答えたら、戦力にならないと採用を断られた」という声も紹介された。