厚労省「生肉ガイドライン」罰則見送りとなった舞台裏

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   焼肉チェーンでユッケなどを食べた客100人以上が病原性大腸菌O111に感染し、4人が死亡した問題では、国が生肉の取り扱い基準を設けていながら、強制力がないために形骸化し、感染リスクを低減するトリミングなどの作業が行われていなかったことが明らかになっている。国は生肉の危険と規制の必要性をどう考え、判断しててきたのか。番組は厚労省の担当者に取材していた。

96年のO-157流行で生レバー問題化

   番組によると、生肉のガイドラインが生まれたきっかけは、1996年のO157大規模感染だった。感染源のひとつが牛の生レバーだとわかり、国は生肉の取り扱いのルールづくりに着手したという。その際、「罰則」をどうするかが焦点となった。当時、国の担当者が業界誌に寄せた投稿では、2000年4月以降、罰則を設ける旨を明記していたという。

   ところがその後、国の検討会などを経て、規制は罰則のないガイドラインに「緩和」された。そうした経緯について番組は細かい検証をしていなかったが、元厚生省課長は「ガイドラインは当然守られるとの前提だった」と話した。お役所らしくもなく、事業者らを「信頼」して、罰則をなくしたウラには、なにかあったのではと勘ぐりたくもなる。もしかして焼肉族議員や牛肉ロビー、民間全能教などの影響があったのかと疑ってしまうが、番組はそんなことは一言も言っていないし、示唆もしていない。念のため。

「事業者を縛る規制強化むずかしい」

   その後、焼肉と生肉を取り巻く社会的状況は変化していったという。焼肉店の新規参入が増え、韓流ブームなどでユッケの人気も増した。そのなかで、96年ほどのアウトブレイクはなかったにしろ、生肉による食中毒は年間数百人程度出ており、専門家、保健所などが法規制を求めていた。

   それでも国は沈黙したままだった。なぜかと聞かれた厚労省の課長は「食中毒が大きな問題になっていないなかで、事業者の行為を縛るような法規制をかけていくきっかけがなかった」と話し、民間の経済活動への配慮が理由だったとした。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2011年5月17日放送「検証ユッケ食中毒 見過ごされた生肉の危険」)

文   ボンド柳生
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