6億円余りをわずか15分で強奪した手際の良さには驚くが、もっと呆れ驚いたのは警備保障会社のズサンさ。
事件があったのは、JR中央線・立川駅から徒歩で10分弱、住宅街のマンション1階にある「日月警備保障立川営業所」だった。12日(2011年5月)午前3時5分ごろ、2人組の男が壊れていた窓(50cm×40cm)から侵入、仮眠していた男性社員(36)の両腕を粘着テープで縛ったうえ目隠しをし、「金庫の暗証番号を言え」と脅し、番号を聞き出すまでの10分間鉄パイプで殴ったり、ナイフで刺すなど暴行した。
暗証番号を聞き出すとわずか5分足らずで、金庫に袋詰めにしてあった6億400万円を運び出し車で逃走したという。この現金は東京・中央郵便局から多摩地区の約400の郵便局に配るカネで、警備会社が一時保管していた。
元従業員か出入りの取引業者
手際のよさなどから、いくつかの疑問が浮上してきている。1つは犯人が多額の現金が一時保管されていることを知っていたのではないかということ。また、犯人が侵入した窓は半年前から鍵が壊れたままになっていたことも気になる。さらに、犯人は駐車場の電灯が消える午前2時半を見計らったように30分後に来た。これらの疑問から、内部事情を知る者の犯行という説が浮上している。
元警視庁捜査1課長の田宮榮一も次のように推測する。
「警備保障会社の内情に非常に詳しい者だと思う。かつて警備会社で働いていたとか、取り引きのためにたびたび足を運んでいたとか。とくに僕が関心を持ったのは、社員が金庫の暗証番号を知っていて聞けることができる人物であることを犯人が知っていたことだ」
暗証番号は定期的に変え、番号を知っていた社員は数人だったという。
それにしても、人が出入りできる窓の鍵が半年も壊れたまま。6億円もの大金を預かっているのに宿直は1人きり。警報機をつけていたが、社員にも反応してしまうため、普段から電源を切っていたというから呆れる。
金庫の横にカギを置いておくようなもの
司会の加藤浩次「ズサンな感じですね、何の警備もしていないじゃないかと思う」
これにコラムニストの勝谷誠彦は呆れる。
「(金庫の)横に鍵を置いているようなもの。暗証番号を知っている人を寝かしておくのはむちゃくちゃだ。再保険をかけていると思うが、僕が保険会社なら払いませんね。過去にもこの警備保障会社はこういうことを起こしている。それでも郵便業務を委託しているのはどういうことなのか」
保険を掛けているから実害はないとでも思ってつい甘くなっているならとんでもない見当違いなのだが…。業務を落札した裏に何もないのか?