史上最もエキサイティングな一戦「伝説のボクサー兄弟」感動実話

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   <ザ・ファイター>かつて1度は栄光を手にしながら、いまは薬物中毒のボクサー、ディッキー(クリスチャン・ベール)とボクサーとしてまだ目の出ない弟・ミッキー(マーク・ウォールバーグ)。そして彼らをとりまく姉妹と両親――。

   ディッキーはミッキーのセコンドをしているが足を引っ張ってばかり。ミッキーはある試合をきっかけに、身勝手な家族たちに幻滅して一人離れてボクシングをしたいと望む。実在するプロボクサー、ミッキー・ウォードとディッキー・エクルンドの兄弟を描いた映画だ。クリスチャン・ベールはゴールデン・グローブ賞、アカデミー賞の2つで助演男優賞を受賞した。

役作りで「髪抜き歯並び変えた」クリスチャン・ベール

   兄のディッキーを演じたクリスチャン・ベールという役者はとことん役になりきる。バットマンのときは40kg体重を増やして筋肉隆々のヒーローに。重度の不眠症の青年を演じたときは30kg体重を減らして不気味に早変わり。それもたった数か月間の間に変身するのだ。今回は有能だったボクサーから転落、家族をとことん振り回すダメ人間を演じた。体重を14kg減らしただけでなく、髪を抜き、歯並びも変えて、役だけでなく外見も見事にディッキーになりきった。この作品の主演はミッキー役のマーク・ウォールバーグだが、彼を完全に食ってしまった。

   カンボジア人のたまり場にいりびたり、ミッキーのセコンドなのに練習にはいつも大遅刻。喧嘩沙汰にミッキーを巻き込み、大事な拳に怪我をさせてしまう。まさに「最低」の兄だが、どうにも憎めない。本当は家族や町を愛していることが分かるからだ。ディッキー自身も「自分はこれではいけない」と気が付いていて、苦闘する人間臭さが哀しくも好ましい。

女たちのファイトがこれまた凄い

   映画の見所は迫力のボクシングシーンや兄弟の絆なのだが、いち押しは女たちの存在だろう。父親が違っていたりするミッキーの姉妹たち、常に超ミニスカートの母親(メリッサ・レオ)、そしてミッキーの彼女シャーリーン(エイミー・アダムス)。みんな気の強いこと強いこと。

   姉妹たちがバーで働くシャーリーンを「大学出の生意気なMTV女」とののしると、シャーリーンはたった一人でためらわず殴りかかろ。母親も怒ると旦那になんでも投げる。皿から大きな鍋まで容赦なく投げつけて、逆に笑いさえ起こってしまう。

   この映画のタイトルが「ボクサー」ではなく「ファイター」なのは、みんな何かと戦って生きていて、それが人生というものだと、そんな意味がこめられている気がする。

おススメ度☆☆☆

PEKO

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