菅内閣は東京電力福島第1原発の事故に伴う損害賠償の枠組みを12日(2011年5月)に閣議決定。枠組みは東電の存続が前提で、最終的に賠償額が全国の電気料金に転嫁されることは避けられない状況だ。
すでに6月から値上げ
福島原発事故はもともと大津波の発生を想定してこなかった設計ミスによるところが大きいが、震災後の対応ミスも放射能被害を大きくした。原因は地域独占にあぐらをかいてきた電力会社の甘い経営にあったことは否めない。そのツケを電気料金に転嫁されては「納得できない」と批判が噴出した。
つけ回しが早くも始まっているのではと思うぐらい、どさくさに紛れた形で電気料金の値上げが始まっている。電力10社は6月からの電気料金を39~90円の値上げすると発表した。東電管内の家庭では1世帯あたり84円の負担アップ。値上げの理由は、火力発電の燃料となる原油や液化天然ガスの輸入価格の上昇という。同じ理由で4か月連続して値上げしており、計240円のアップとなる。加えて賠償金まで転嫁されたのではたまったものではない。
国民感情をずるずる利用
スタジオで口火を切ったのは弁護士の本村健太郎。
「脱原発の流れで燃料の高い火力発電に戻すならコストアップもしょうがない。ただ、賠償金の支払いで料金を上げるのは納得できない」
続いて内科医のおおたわ史絵「国民が少しずつ負担して皆で助けようとなっちゃうのは話が違いますよね。昔から原発にずっと反対してきた人がいっぱいいたわけで、同じように支払うのかとなると話が違うじゃないかと思う」
キャスターのテリー伊藤はさらに厳しい。
「脱原発でやるなら、今後も原発を開発しようと貯めたプール金が何兆円もある。それを使って値上げしない方がいいに決まっている。そこをちゃんとしないで、これから掛かるものばかり口にしている。東北が大変だからと、国民感情をずるずる利用して値上げする。これは違うと思いますよ」
今回の原発事故は、原発推進政策だけでなく、地域独占のおかげで、燃料が上がれば自動的に電気料金を値上げする経営者不要の体質を変えるいい機会だが、菅政権にはそこへ踏み込む姿勢が一向に見えてこない。