「もっと細かく測定して欲しい」
この様子を避難先で見ていた田村市の人たちは複雑な表情だった。やがて自分たちも帰宅の順番が来る。
「4月21日 まで自由に出入りできたのに」
「(防護服に)あれじゃ無理だよ」
坪井幸一さん(62)の自宅は田村市だが、20キロラインから500メートル内側にある。
「あんな武装する必要あるのか。20キロにカベがあるのか。もっと細かく測定すべきだ」
という。2か月前まで、30年間原発の変電関係で働いていた。
「複雑ですよ。恩恵は受けていたが、それがこの被害だ」
帰宅は拒否するという。
現地でレポートした黒宮千香子が「大きな袋でペットフードを持っていく人もあった」というと、司会の羽鳥慎一が「2か月間何も食べてないの?」だと。それじゃ生きてるわけないだろ。
帰宅した箭内正男さん(48) がスタジオからの電話に答えた。
「(家は)前に1度帰ったときのままだった」
ネコも無事で、写真にも撮ってきた。そこで疑問だ。
「バス降りる前に被曝放射線量を測ったが、家に戻れない線量じゃなかった」
「いつになったら帰れるのか。我慢するしかない」
決まっているのは、明日、川内村の50世帯と葛尾村の18世帯。あとはまだ未定だ。一時帰宅が進むにつれて、本帰宅を求める声が高まりそうな気配である。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト