岩手県釜石市にある東中学校と、隣接する小学校の児童・生徒は、あの大地震と大津波から避難し、全員が無事だった。防災教育の指導に当たったのは群馬大学大学院の片田敏孝教授。片田は3つのことを生徒たちに話していた。
ハザードマップ信じるな
片田教授が教えた3つのポイントは、まず「ハザードマップを信じるな」。ハザードマップはあくまでも想定で、自然界では想定以上のことが起こる可能性は常にあるからだ。
次が「最善を尽くせ」。避難した中学生は「指定されていた避難場所に着いたら裏の崖が崩れ始めていた。それを見て、ここも危ないかも知れないと、もう一段高いところに逃げることにした」と話す。最後が「率先避難者たれ」。自分たちが必死で逃げる姿を見せ、周囲の人たちに警告を発しろという意味だ。東中学の女子生徒は「逃げる途中で、前を行く保育園の子供たちと出合いました。3~4人の先生が必死で子供たちを引率していましたが、これでは間に合わないと思い、みんなで手分けしてチビッ子たちを抱え、一緒に逃げました」とふり返る。
小さい子抱きかかえ避難
司会のみのもんた「何ともたくましい若者ではありませんか。大丈夫、こうした若者がいれば、必ず復興できます」
城戸真亜子(タレント・洋画家)「本当に頭が下がる思いです。この防災教育はこれからの人生にも大いに役立つと思います」
内野雅一(週刊エコノミスト編集長)もこう話す。
「昔は兄弟、姉妹が多いのは当たり前だった。だから、上が下の子の面倒を見るというのは当然。しかし、今は少子化時代。小さな子の世話をするというのに慣れてないだろうに、そうした中で、小さい子を抱きかかえたり手を繋いだりして全員無事に津波から逃げ切ったというのは驚嘆に値する」
文
ナオジン| 似顔絵 池田マコト