地元離れて一人暮らしの「短期契約」新社員―気仙沼の18歳健気

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   希望に満ちた社会人生活の第1歩を踏み出すつもりだったのに、大震災で暗転、就職内定を取り消された若者が少なくない。宮城県気仙沼市の高校生だった前田真里さん(18)もそのひとりだ。

   入社4日前だった。高校の先生から電話がかかってきた。突然のことで、何が起きたのかわからなかった。ようやく内定取り消しの事情が飲み込めたが、今度は涙がとまらなかった。

震災・津波で内定取り消し

   前田さんは両親と弟と祖父母の6人暮らし。高校を卒業したら少しでも一家の役に立ちたいと地元の農協に就職を決めた。しかし、農協は津波で大きな被害を受け建物も流された。被害は自分の家にも降りかかった。船員の父が仕事を失い、自分が頑張らねばと思っていた矢先の通告だった。

   地元を離れた町での就職を決意し、車で2時間の登米市の農協で1年間の短期契約社員として働くことができるようになった。一時はショックで途方にくれたが、チャンスを与えてもらったので頑張っていこうと思っている。

   アパートを借りて通勤している。初めての1人暮らしだ。朝8時に出勤、仕事はトイレ掃除から始まる。

   司会のみのもんたが電話で聞く。「いま一番楽しいことは何?」

   真里さん「いろんな仕事を覚えていくことです」

   みの「辛いことは?」

   真里「家の中のことが大変ですね。料理もあまりしたことがないんで」

   みの「月給はいくらなの」

   真里「まだもらっていないのでわかりません」

   みの「月給もらったらどうするの?」

   真里「家族にプレゼントしたいと思っています」

文   一ツ石| 似顔絵 池田マコト
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