スーちゃんの肉声が流れたのは衝撃だった。きのう(2011年4月25日)青山斎場で行われた元キャンディーズの田中好子さん(享年55)の告別式。テープは 3分20秒。「モーニングバード」もノーカットで伝えた。
夫の小達一雄さん(56)が「女優田中好子の第1章は残念ながら幕をおろしましたが、第2章第1幕をいま、スタートさせて上げたい」とカチンコを鳴らしてテープが流れた。
「一さん、よろしくね。さようなら」
「こんにちは、田中好子です」とか細い声だ。
「きょうは3月29日、東日本大震災から2週間が経ちました。被災された皆様のことを思うと、心が破裂するような……、ご冥福をお祈りするばかりです」
「わたしも一生懸命病気と闘ってきましたが、もしかすると負けてしまうかもしれません。その時は必ず天国で、被災された方のお役にたちたい……。きょうお集りいただいている皆様にお礼を伝えたくて、このテープを託します」
ああ、自分の葬儀を思い描いていたんだと、会場は凍り付いた。
「キャンディーズでデビューして以来、本当に長い間お世話になりました。幸せな幸せな人生でした。心の底から感謝しています。とくにランさん、 ミキさん、ありがとう。2人が大好きでした」
「映画にもっとでたかった。テレビでももっと演じたかった。もっともっと女優を続けたかった。お礼の言葉をいつまでも皆様に伝えたいのですが、 息苦しくなってきました」
「いつの日か、妹夏目雅子のように、支えてくださった皆様に、社会に少しでも恩返しができるように、復活したいと思っています」
復活したいんだ、生き足らなかったんだ。55歳は若すぎるものね。
そして最後、夫に「一さん、よろしくね。その日まで、さようなら」。消え入るような声だった。
「美しい言葉。永遠に残る」
司会の羽鳥慎一「テープに残していたんですね」
芸能レポーターのみといせいこ「病室で酸素マスクをはずして、体調が比較的いいときだったそうですが、ご主人と2人だけでなさったと。きのう会場の外でも聞こえましたが、はじめはいままでのテープを編集したものかと思っていたら、3月29日というので、取材陣もみんな泣いちゃって……」
キャンディーズ世代の舘野晴彦(月刊「ゲーテ」編集長)「何と美しい言葉かと思いますね。永遠に残る言葉になると思います」
さて、名もなき市井の人間は、どんな言葉が残せるだろう。とくに生き過ぎてしまうと、これがなかなかむずかしい。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト